「おや…随分と必死じゃないか…。そんなに気になるのかな…。」
幾度もなく動画のロックを解除するためにパスワードを打ち込む様子が通知される。
設定者に届く通知は、打ち込まれたキーすらも明確に表示され、「本心」と書かれたヒントのようなファイル名。
「本心…が聞けたら…、パスワードを教えてあげようって…思ってただけなんだけどな…。
そうとう気になるみたいだね…。」
正義感に後押された建前のワードや…しおりへの行為を示す言葉…、みほの根底にあるものはそんなものではないと思っていた。
いや、思っている…が正しい。
その気持ちは過去の物ではなく、現在進行形だと思うからだ。
もちろん、パスワード…に設定した文字通り【キーワード】は、こちらの都合の良いように決めつけたものに過ぎない。
しかし、徐々にズレ始める建前から本心へと揺れていく、ワードの変化。
みほにとっては【しおりを守る】も本心のはず、しかし【もしかしたらこれかもしれない】という、心の隙が徐々にこちらの思惑へと堕としていく。
残念ながら、その【本心】は、自分の中にあるものではなく、卑劣に企む男が設定しただけの罠に過ぎないことに。
そしてまるで洗脳されるように、幼い少女の脳裏に刷り込まれることになる。
【ロックを解除したワードこそ本心】なのだと…。
「っと、どうやら解除できたみたいだね…。」
解除の通知が手元に届くと、驚き以上に喜びもこみあげてくる。
どんな思いでかはさておき、自らの意志で、【見られたい】というワードを打ち込んだのだ…、潜在的にでも、欠片でも思っていないとそうはならない。
みほ自身に…見られたい欲求が少なからずあるということを確認できたのだから。
ロックが解除され、みほの目に晒される動画。
写真は完全にしおりの顔が写っていたが、動画に現れた、しおりだと思われる少女の顔、にはモザイクをかけていた。
隠したかったのはしおりだという事実ではなく、音声とずれた言葉、への違和感をなくす為。
気づくほどの冷静さはないと思っていたが、気づいてしまった時のリスクが大きい。
揺れているしおりへの不信感、大きくなりつつある晒したい欲求…そして、求めてやまない快感への渇望。
それをどこかで、違う…おかしい…と思わせては、それら全てが崩れてしまう。
想像以上に男はクレバーだった。
目の前の餌を貪り食うのではなく…、より美味しく頂くためにはどう味付けをするべきか、そんなことを考えるように外堀から確実に追い込んでいく。
焦らすようにパスワードというもので、疑似的な本心を植え付け、脳内を書き換えるようなアプローチは、例の動画の公開でさらに加速する。
「溶け合ってきもちよくなりたい…。」
「ここも…見てほしい…奥の奥まで…あたしの身体の中…隅々まで…」
「おじさん?教えて?」
動画の中で…、確かにしおりの声が、そう言葉にしている。
シーンは、写真と同じところだろうか。
その少し手前…、スカートの中に手を入れて、しばしの戸惑い…その後にゆっくりと
下着を下ろし…、笑みを浮かべながらシミを見せつけるように広げて笑うシーン。
そして、そのまま、スカートを捲り上げて晒す割れ目…、微かに生えた陰毛。
柔らかそうに主張する割れ目…、少し大きめの肉芽…、透明な液体がその割れ目から滴る瞬間が鮮明に映っている。
写真だけでは、言葉に乗っかる気持ちが見えない。
しかし、その微笑みを浮かべた写真の…その表情が、動画でのモザイクなどないものに変えてしまい。
音声が動画と微妙にずれていることなど気づく余地を与えない。
あくまでみほへの気持ちをさらけ出したしおり…のはずなのに、まるで目の前にいる男を求めているようなワードだけを切り抜き…あてこむ。
実際、ほぼ同じシーンでの言葉だけに…違和感を感じる方が難しい。
【ここも…見てほしい】
そのワード…そしてそのシーンを…キーワードの【見られたい】と関連付けることで【普通の女の子】という言葉に深みを持たせた。
そんなに長くはない動画。
解除ができればそのまま見続けるはず、送り返す文章を作りながら動画の再生時間が終わりを迎えるころに改めて送信する。
「そんなに気になったかい…?
でも、気づけたんじゃないかな…?
みほちゃんの本心…、しおりちゃんもただの女の子だよって言った理由も…。
そして動画を見て改めて思ったはずだ…。
どんな気持ちなんだろう…?
どんな気分なんだろう…?
気になって気になって…。
それが、守る…好き…気持ちいい…見られたい…と、君の気持ちが建前から本心に変わった理由なんじゃないか…?」
その言葉は、みほが打ち込んだすべての解除キーがバレていることを意味した。
「嘘だと思うかい…?
そんなわけないと思うかい…?
守るって気持ちが本心だと…大好きな気持ちが大きいと…。
じゃあ質問だ…。
どうして君は…みほちゃんは、君の為に身を挺して自分を犠牲にして、君を守ろうとしたしおりちゃんを見て…。
おなにーしているんだい…?」
見透かしたような男の言葉…文字は、確実にみほの僅かに残る理性を削ぎ落としにかかる。
「いいよ…?
みほちゃんが望むなら…、しおりちゃんと同じ思いをさせてあげても…。
同じ場所…同じ時間で…、同じ思いを…。
ねぇ…どうしたいんだい…?君は…。
相談するかい…?大好きなしおりちゃんに。
助けを求めるかい…?大人に…。」
幼い少女の心を蝕む悪魔のささやきは…まだ少し続きそうで。
【二人のやり取りの中で、しおりちゃんが感じ始める異変。
もちろん、しおりちゃんは男とのやり取りの具体的なところをみほちゃんが知っているとは思っていません。
といっても、みほちゃんが持っている情報も操作された半分は嘘の紛い物。
しおりちゃんを信じたい気持ちに嘘はない、ただそれ以上に元来持ち合わせている好奇心。
そして何より、しおりちゃんとの間で目覚めてしまった性への興味、快感、興奮の心地よさ。
それが間違った方向へと発展し始める。
しおりちゃんが違和感を感じ始めるタイミングは、みほちゃんが直接的に男とやり取りを始めてからなのか。
それとも、1人で男のところへと向かう約束をし、その日を迎えるまでのやり取りなのか…。
その辺りはお任せしたいなと思います。
文章にするとややこしいので、箇条書きで展開のイメージを書くと
1.みほちゃん単独で男との接触
2.みほちゃんに違和感を感じながらも普段の生活に色が増えた二人のやり取り
3.しおりちゃん単独で改めて男との接触
番号はわかりやすく振っただけで、順番等の概念はありません。
この後は1~3のいずれかの展開で進んでいくだろうなと仮定しています。
濡れずにはいられない、触らずに入られないイメ、になっていてよかった。
楽しんでいただけているのが私にとっても嬉しいことなので。
お互い、気になったことや感じていることは引き続き共有しながら楽しんでいきましょう。
もっと濡れていただける時間、頻度が増えていくように…私も頑張りますね。】
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