「…え?ぁ、いえ、その…っ」
サリーナは下着の仕掛けに気がついておらず、真っ黒で少し透けている下着程度としか認識していないが、それでも下品なものと認識している。
世の女性はこんな下品なものを身につけているのか、ベッドの上に置かれた他の下着類を見ると、到底信じられなかった。
アレクを疑っているわけではないが、心の底の疑念が表情や態度にでしまっていた。
「お父様が仰ったというのであれば、もはや異論はありません…。もとより、アレクを疑っているわけでは…。ただ、このように、その…、おかしな下着を見たことがなくて…。」
アレクに少し冷たく言い放されただけで、慌てて訂正する。
この屋敷で二人っきりで、信頼している相手であるからこそ、語気を強めた言い方は効果覿面だった。
それに父の名前を出されたら、サリーナは疑うことはできない。
そして指示された通り、ベッドの上に仰向けに寝る。
アレクに見下ろされ、じっと目が合い、緊張が高まっていく。
キス、と聞いたが、サリーナは少し余裕を持っていた。
(口付け…。昨日経験しましたね。どのようなことが始まるのかと思いましたが…。)
そのまま目を閉じ、アレクを待つ。
少し遅れて、唇が重なる感触がしたが…
「ん…っ、ん…っ、っ、んっ、ぅ、ちゅっ、ん…っ、んんっ!!」
礼拝堂の口付けは軽く重ねたキスだったが、それとは真反対の貪るようなキスが始まった。
口を捩じ上げられ、涎を溢しながら舌を挿入され、唾液を送り込まれる。
犯されるような感覚が怖くなり、両手でアレクの胸板を押し返すが、アレクは退かず、より舌を捩じ込んでくる。
(何これ…っ、こんなの知らない…、本でも読んだことがない…。獣みたいな、息が苦しくて…、何も考えられない…。頭がボーって、してくる…)
「ん…っ、ちゅっ、ん…っ」
女慣れしているアレクのキスは上手く、最初は怯えたサリーナも次第に抵抗が弱くなっていき、胸板を押し返す両手はぽとっとベッドの上に落ちた。
口内を貪られながら、目はトロンと蕩けていき、アレクの舌を受け入れ始めた。
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