背を向けていたアレクの耳に衣擦れの音が届き、しばらくするとサリーナの小さな声が聞こえた。
振り返ったアレクの目に黒い下着を身につけたサリーナが全身を赤く染め俯き加減で佇んでいた。
サリーナの白い肌に黒い下着は映え、アレクが思わず唾を飲み込むほど…
おそらくサリーナは並べられた下着の中から一番マシと思われる物を選んだに違いないが、その下着の仕掛けには気づいてはいないようだ。
(クククッ…ちゃんと言われたように毛は剃り落としたようだな…あの紐を解く時が楽しみたぜ…)
スケスケ素材の下着からは、サリーナの白い肌が薄っすらと透けて見え、ピンク色の乳首も縦に走る筋も見て取れる。
何もかもアレクの言葉を信じてのことだろうが、下着を身につけたサリーナの顔には隠しようのない嫌悪感や疑心が浮かんでいた。
「サリーナ様…もしかして、このような下着をつけることが妻の務めという私の言葉を疑ってはおられませんか?こんな下品な物をと…確かに今、サリーナ様が身につけておられる下着は下品です…しかし…この事を私にお教えくださったのはサリーナ様のお父上のレイウス様です…私が…結婚の報告に上がった時、夫としての役目と妻との務めについて お教えくださったのです…もしサリーナ様が暴漢に襲われたとします…サリーナ様はこんな下品な下着を身につけていることを卑劣な暴漢に知られるくらいならと必死で抵抗されるでしょう…あるいは恥を晒すくらいなら自ら命を断つのではないてしょうか…自分は夫たる男だけのものという自覚を持たせせるためだとレイウス様は仰いました…もし私の言葉を信じていただけないのなら…サリーナ様からのお申し出もなかったことにしなくてはなりません…」
少し強い語気のアレクにサリーナは首を横にふり「そ、そんなことはありません…」と慌てた。
愛する父の名を出され、信頼するアレクからは突き放されるように言われたサリーナの慌てぶりはアレクの思惑通り…今後一切の疑問を持たぬようにさせるアレクの目論見にまんまと嵌まるサリーナだった。
「そうですか…では…こちらへ…」
アレクはベッドの自分の横へとサリーナを誘い寝かせると、その脇に肩ひじをついてサリーナを見下ろした。
「まずはキスからはじめましょう…夫婦の契を結ぶ儀式の時とは違う、本当の夫婦のキスをお教えします…」
その言葉に「はい…」と頷いたサリーナは目を閉じた。
アレクはニンマリとしながら唇を重ねる…儀式の時のように軽いものではなくサリーナの唇を貪るように…
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