「お帰りなさい、アレク。随分早かったですね。身体の方も今日は調子が良く、起きてお待ちしてました。それから、今日はお疲れだと思い、食事を用意しておきましたの。」
にこやかな様子で玄関まで出迎えに行く。
思っていたよりも早い帰宅だったが、既に食事の用意は終わっており、荷物を下ろすアレクを待ち、食卓へと共に向かう。
「アレクには普段から世話になっておりますし、今日くらいは、と思い…。とはいえ、きちんと教育を受けたわけではないので、簡単なものになっていますが…。」
普段の食事とは違い、簡単な料理ばかりで質素なもの。
しかし、サリーナは慣れない料理を一生懸命こなし、時間をかけた逸品。自分で作った甲斐があったのか、サリーナ自身はとても美味しく感じられた。
「お父様はお元気でしたか?…そう、それは良かった…。お会いしたいのですが、まずは病気をなんとかしないと叶いませんね…。街はどうでしたか?何か変わったことなどありましたか?」
食卓をとりながら、アレクに色々と話しかけるサリーナ。
父の様子が気になるのは当然、街の様子にも興味津々。
辺境にある屋敷に幽閉されている身としては、外部のことに興味が尽きず、アレクの話に一喜一憂する。
外への憧れや病気を治したい意思が見え隠れしていた。
「…はい、それではお先に湯をいただきますね。その、お母様みたいに病気も早く治したいですし、色々よろしくお願いします…。」
精液が薬などと嘯かれて信じ切っているサリーナは、先に湯を浴び、自室のベッドでアレクを待った。
シルクのネグリジェに身を包み、アレクの到着を緊張しながら待ち侘びた。
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