「聖書…をですか…?」
夫婦となった初めての夜…初夜に何をするのか知っているかと問われたサリーナは、アレクでさえ呆れるほど突拍子もないことを口にした。
アレクは、笑いを堪えるのに必死になるが、当のサリーナは真剣そのもの…
病床で それなりの教育も受けただろうが、この性に関しては幼い子供と変わらないこたが知れる。
ここまで性に対して無知となると、初夜だからとサリーナを半ば強引に抱くのはどうかと思える…
急いては事を仕損じる…ふとそんな言葉が頭に浮かんだ。
(慌てることもないか…時間はたっぷりとある…何も知らないサリーナに嘘を教えるのも面白いかもしれん…)
「本来ならば…ご結婚が決まったあと、母君…メイサ樣からご指導があったかもしれません…けれど…私たちの場合、急な事でしたし…何より誰にも知られてはならない事…サリーナ樣がご存知ないのは仕方のないことです…なので…私がサリーナ樣にメイサ樣の代わりにお教えいたします…初夜というのは…」
アレクは、真面目な顔をしてサリーナにデタラメな初夜に行うべき事を伝えた…
「夫婦となった以上…お互いに隠し事はあってはなりません…すべてをお互いに晒すのです…身も心も…です…」
アレクの話を黙って聞いていたサリーナだったが、「全て晒す」ことの意味に気づいたのか、白い顔はみるみるうち赤く染まる。
「恥ずかしいことは私にもわかります…ですが…これを望んだのはサリーナ樣です…私もある意味…危険を犯しています…もしサリーナ樣がこのまま何も知らないままでいいとおっしゃらなら…この夜のことはなかったことにしてもいあのですが…」
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