「ぅ、ふわ…ぁ…。もう、朝なのね…。」
シーツの中でもぞもぞ動き、陽の光から逃れる。
昨夜の激しい運動のせいで、全身は気怠くて、まだ眠気すらある。
朝の日差しだと勘違いしているが、すでに時刻は昼過ぎ頃。
ぼーっと寝起きの微睡を感じていると、昨夜のことを徐々に思い出す。
『ぁんっ❤︎ぁあんっ❤︎サリーナがっ、起きちゃうからぁ❤︎』
『キ、キスはダメよ…っ❤︎私には、愛する人が…ぁっ❤︎』
『イくっ、イっちゃうぅっ❤︎』
「はあ…、ホント…。我ながらバカみたいだったわね…」
サリーナのためだと言い聞かせながら、結局は快楽に溺れてしまった。
自分の浅はかさに反吐が出る一方で、部屋に散らばった下着や体液などが目に入ると、獣のようなSEXの快楽を嫌でも思い出してしまう。
今夜も少し期待してしまった自分に嫌気がさし、ため息をついた。
ちょうどその時、扉を軽く叩く音がした。
「ぁっ、だっ、ダメっ!入らないでちょうだいっ!」
この部屋の惨状は誰がどう見ても、メイサの不義を察してしまう。
慌てて入室を拒んだが、メイサの訴えを無視して扉が開けられた。
「…ッ!?…な、何よ…、貴女だったの…。声くらいかけなさいよ…」
心臓が一瞬跳ね上がったが、ルシアだと分かった瞬間、身を強張らせつつも、内心ほっとした。
無事なのはサリーナが横になっていたソファの周りだけであり、他は直視に耐えないもの。
淡々と掃除をこなしていくルシアをソファに座ってぼーっと眺めていた。
(サリーナは、「ルシアはとっても良い人」と言っていたけれど…。あの子からすれば、どんな悪人だって良い人でしょうに…)
まるでホテルの一室かのように整えられ、昨夜の出来事は夢だったかのよう。
ルシアは退室の間際、ラッピングされた一つの箱を置いていった。
「…なによ、コレ…。アレクから…?」
受け取りはしたものの、中身を見て愕然とした。
中身は紐ショーツでおり、生地は薄くてシースルー模様。
唯一しっかりとした布地なのはクロッチ部分であるが、そこにはピンク色のローターが仕込まれていた。サリーナとは異なり、ウブではないメイサは一目見ただけで、アレクの趣向を理解した。
「…チッ。アレクのやつ…、全く…。サリーナのためだから、仕方ないわね…。もう…っ」
アレクはあえてサリーナを盾にするような物言いでメッセージを残した。こうしてやれば、メイサは言い訳をしながらも従順になる。
苛立ったような独り言をブツブツ言いながらも、鏡に映るメイサの口角は上がっていた。
ーーーーーーーーーー
「ん…っ❤︎、な、ぁ…、うふふっ、なんでもありませんわ…。」
名君であるが故、民のこと不満や要望は見逃さず、きちんと対応するレイウスは普段から多忙である。
ただでさえ多忙を極めるレイウスであるが、サリーナの快復を祝う会に向けた準備により忙殺されていた。
その彼を労うために、メイサ自ら動いたのだが…。
(アレク…っ、どこかで見てるの…っ!?なんで、こんな急に…っ)
絶頂には達せないほどの弱い振動をしていたローターであったが、レイウスの元を訪れた際、強烈な振動に変化した。
ピクッと身体を震わせ、声が漏れないように歯を食いしばる。
久々に部屋を訪れた愛妻に気を許し、語りかけるレイウスだったが、メイサは陰核を刺激する振動により上の空。
「そういえば、サリーナは婚約者候補について何か言っていたか?」
「え?…ああ、ええ…っ、その…っ、ん❤︎あの子は、そういうのに疎いから…っ、少しずつじゃないかしら…っ❤︎」
「…メイサ、侍女も辞めてしまったのだろう?繊細な君のことだ。あまり無理はせず、少し休みなさい。」
(アレクと結婚したいと言ってるなど、言えるわけないじゃない…っ。それより、もうイきそう…っ、ダメ…っ)
顔を赤くし、額に汗を滲ませるメイサ。
侍女であるマオはあれから城に戻らず、退職届が郵便で届いたのみ。確かにマオの直筆であったため、これは受理されていた。
そのショックもあり、体調が優れないのだと勘違いしたレイウスに、そっと部屋の外まで送り届けられたが、その瞬間に絶頂の間際を迎える。
あと一瞬でも遅かったら、目の前で達してしまっていた…、そう安堵しながらへたり込むが…。
「ぁっ、あれ…っ、ぐぅぅっ、なんで…ぇっ」
イく、その寸前に、振動はピタリと止まった。
どこかでニヤけているアレクの表情が脳裏に浮かび、歯軋りした。
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カツカツっ、ヒールの音を鳴らしながら、早歩きで石床の廊下を行くメイサ。
目的地はアレクが待つと言う庭の作業小屋。
あれから不定期にローターは強く振動し、イく直前になれば、一瞬止まって弱い振動に戻る。
焦らされ続け、ローター仕込みのショーツは布としての機能を果たしておらず、ドレスの下の内股は漏らしたように愛液に濡れている。
どこかに急ぐメイサを見て、声をかける者もいる。食堂の片付けをしていたメイドだった。
「メイサ様、夜更けにそんなに急いでどちらに?お供いたしましょうか…?
「…ひゃっ!?…き、気持ちは嬉しいわ、レノ。でも、少し1人で夜風に当たりたいだけだから。」
メイサは御付きの侍女をなくしたばかりであり、側につきたいと考える侍女も多い。
メイサの付き人になれば待遇はより良くなるし、メイサ自身も尊敬を集めていることから、より一層だ。
(私のような、一介の侍女の名前まで覚えてくださってるなんて…。)
メイサに敬愛の念を送るレノだったが、彼女が夫とは別の男に抱かれに行っている最中だとは思いもしなかった。
庭に出ると、早歩きが駆け足に変わる。
一刻も早く、乱暴に抱かれたい。
早くめちゃくちゃにされたい…っ。
寸止めされ続けた身体は快楽を求めていた。
作業小屋に飛び込むと、中にはすでにアレクがいた。
ニヤニヤと笑みを浮かべる彼に苛立ちを覚えながら、
「はぁっ、はぁ…っ、お、ぉ、オマエが変なものを寄越したからでしょう…っ!?早く、この振動を止めなさい…っ!」
強がりを口にするが、もう限界に近いのは明らか。
息を切らし、黒く優雅なドレスの裾からはガーターベルトがチラリと覗き、整った顔立ちは不能の男さえも興奮させるだろう。
改めてメイサの美しさを思い知るが、故にアレクは一つ気がついた。
『少し美しすぎる』
今日一日、焦らされ続けて平常ではいられなかったはず。
それなのに、髪はしっかりと梳かれていて、金糸がキラキラと輝いている。化粧も崩れておらず、いつもより少し濃い真紅の口紅は、大人の色気を醸し出している。
メイサはわざわざ、この場所に来る前に身嗜みを整えてきていた。
アレクに抱かれるためだけに。
【すみません、遅くなりました。4月はどうも、2週間に一度ペースになりそうです…。お許しを…】
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