申し訳ないです…少し物足りないと思い書き足してしまい、二度手間をとらせてしまいましたね。
礼拝堂は屋敷の奥まった所にあった…城の礼拝堂とは違い、小さな祭壇が置かれ神を模した偶像があるだけの質素なもの…それでも礼拝堂の中は特別な空気に包まれていた。
(何回来ても嫌なところだ…)
礼拝堂の中は綺麗に掃き清められており、神の前に2つのロウソクが火を灯している。
城では、サリーナのお父上に反省の意を示すために礼拝堂を掃き清めていたアレク…神など信じてもいないアレクにとって見せかけの奉仕活動で、それはこの屋敷でも行われていた。
その結果、サリーナのお父上からの信頼を得、ここでもサリーナからの信頼を得る一端となっていたのだ。
「少しここでお待ちください…準備をしてまいりますから…」
アレクの嘘の身の上話を信じ込みアレクの手をぎゅと握りしめ肩を寄せていたサリーナを留め置き、夫婦の契を結ぶ儀式の準備をはじめた。
礼拝堂にあるすべてのロウソクに火を灯し、手には2枚の紙を持ちアレクはサリーナを振り返った。
「サリ……ナ…様…」
アレクは言葉を失った…サリーナは、神の前にひざまづき祈りを捧げていたのだ。
何十ものロウソクの揺れる炎に照らされたサリーナは黄金色に輝き、白いネグリジェは天使の羽のように見えたのだ。
神など信じてもいないアレクだったが、女神が降臨したように思えた…それほどサリーナは美しかった。
「どうかしましたか?」そんなサリーナの声にアレクは我に返った。
(オレとしたことが…神なんかいるわけないのに…)
「い、いえ…何でもありません…お待たせして申し訳ありません…では…これから夫婦の契を結ぶ儀式をはじめましょう…」
アレクはひざまづいていたサリーナの手をとり祭壇の前へと…
「本来ならば神父様に立ち合ってもらうところですが…簡単に済ませましょう…神の前でこの紙にそれぞれ誓いの言葉と名前を…」
アレクはサリーナに手本を見せるようにペンで誓いの言葉と名を記した。
「私…アレク槌スノウはサリーナ槌フローレンスを妻として迎え命尽きるまで愛することを誓います…さぁ…サリーナ様も同じように…」
アレクは、サリーナにペンを渡した…サリーナは黙ったまま頷くと誓いの言葉を紙に記した。
「これで私たちは夫婦となりました…この誓いを記した紙は大切にしまっておいてください…」
いかにも正式な夫婦の契を結ぶ儀式のようだが、誰かの結婚式で見たことを真似たにすぎず、アレクにとってこの誓いを記した紙は保身のためのものでしかない…
「さぁ…最後に神の前で口づけを…でも…もしサリーナ様がお嫌ならばやめても構いませんよ…」
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