「ここは2人だけだし、楽にしてちょうだい。それと、今日の午前の面会は全てキャンセルにしたのですって?皆、すごく残念がっていたわ」
「うぅ、それは…申し訳ありません…。」
「いいの、それよりもごめんね。戻ったばかりだし、本当はもっと休ませてあげたかったのだけど…。貴女が回復傾向にあるとどこで知ったのか、皆ずっと様子を窺ってたみたいで…。貴女が回復したばかりというのは皆知ってるし、遠慮せずに…ええと、ルシアだっけ?ルシアに伝えてちょうだいね。」
アレクとの逢瀬を終えたその日の夜、早速母との時間を設けたサリーナ。
サリーナが戻ってからは城内外に活気が溢れ、メイサもレイウスも仕事が増えていた。
愛娘がせっかく戻ったというにも関わらず、時間がなかなか取れない中、サリーナからの申し出には心躍ってしまった。
「それで…その、お母様…、その、あの…」
「どうしたの、サリーナ…。話辛いことなの?貴女のお母様は、いつでも貴女の味方なのだから…。…あっ、もしかして、気になる殿方でもいたの?」
(モジモジしてるサリーナも可愛らしいわね…。天使のようなこの子をお嫁にしてしまうなんて…、考えただけで腹立たしいけれど、いつまでも未婚というのも…。病のせいで適齢も過ぎてしまったし…)
言いづらそうに口どもるサリーナを見て目を細めるメイサ。
背はサリーナよりも低く、より小柄な身体で、『歳を取らない』と噂されるほど若々しい姿で、愛娘を眺めて紅茶を口にした。
サリーナが話したいことというのは、『結婚したい相手』が見つかったのだとばかり思っていた。
メイサとレイウスは政略結婚。
一年を通す寒さと雪のせいで作物が取れないような北部辺境の領主一族の生まれであり、半ば身売りに近いような形で当時から強い力を持っていたフローレンス家に嫁ぐことになった。
その頃は騎士団にいた男と秘密の恋をしていたが、悲運によって引き裂かれてしまった。
幸運だったことは、レイウスはメイサを慈しみ、非常に大切にされたことであり、結局のところメイサは自分の運命を恨んではいない。
だからこそ、相手を選べる今の状況は幸福なものだと思っていたが…。
「いえ、その…。その、気になる方はいまして…、というか、お慕いしている方がいるといいますか…。」
「まあ、うふふっ、良かったわっ。それで、誰なの?昨日のアルミウス皇国の貴族なんて格好良かったわね…、あっ、もしかして一番に会いに来たリンドル伯のレノ坊かしら。昔からよく社交界で会っていたし、親しかったでしょう?」
「その…、アレク…です。離れで一緒だった…、アレク…。」
「…え?」
想像していない答えが返ってきて固まってしまった。
沈黙が流れる。
(アレク…、アレクって、女中とトラブルになって、なんか処刑されかけていなかったっけ…?サリーナは病に伏していたから知らないだろうけど…、教えてあげたほうがいいかしら…。でも、私もその頃隣国に外遊に行っていたし、よく知らないのよね…。しかし、結果は処刑されていないし、レイウス様はアレクを強く信頼しているみたいだし、何かの間違いでしょうね…。)
無言のまま、紅茶に口をつけ、少し思案する。
サリーナは沈黙に耐えきれず、オドオドした様子で俯いていて、頭を撫でてやりたい衝動に駆られながらも、我慢しながら考えを続けた。
(きっと、これはサリーナのためにならない…。貴族の娘であれば、その特権とも言える幸せだってある。庶民の子では知ることのできない、幸せ。しかし…。)
嫁ぐ前の、北方領地の果てにいた頃。
両親に隠れて騎士の男の子と恋仲になっていたことを思い出してしまう。
結果は今の幸せだが、サリーナが嫁いだ先でひどい目に遭わないとも限らない。
それなら長い間一緒にいて、好き同士の2人でいた方が良いのではないか…。
死の直前まで行ったのだ。
せめて、その後は好きなように…。
(サリーナが本当に望むなら、そうしてあげたいわ…。本当に死にかけて苦しんでいた頃、私たちはそばにすらいてやれなかったのだもの…。…しかし、アレクという男を私はよく知らない…。この天使を預けるに値する男なのかしら。確か庭師の息子…だったと思うけれど…。…まさかもう関係はあったりしないでしょうね…。サリーナは身体が弱くて繊細なんだから、釘を刺しておかないと…)
「わかったわ、とりあえず私は貴女の味方になってあげる。ただ、今度アレクと会ってみて、それからまた考えるわ。貴女はダメよ、アレクとは2人っきりで話をしてみる。サリーナの前だと格好つける可能性もあるし。」
「お、お母様本当っ!?お母様っ、大好きっ!」
沈んだ様子から打って変わって満面の笑顔になったサリーナを見て、微笑むメイサ。
条件付きではあるがメイサを味方につけることに成功したサリーナは、アレクに報告し、次の作戦に移ることにした。
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「グラベル、忙しいのに申し訳ありません。それに、このような遠方に呼びつけてしまい…。」
本日の面会を終え、早々に城を出たサリーナ。
グラベルは昔から、それこそサリーナの年齢を片手で数えられる頃から知っている仲だ。
アレクの予想とは異なり、サリーナはきっと味方してもらえるものだと思っていたが…。
「…グラベル、私はかつて冥府の扉の前まで行きました。淵を彷徨っていた最中もアレクはずっとそばに居てくれたのです。人に感染すると噂されていても、なおです。私はアレクを愛しております。どうか、お父様の説得に力を貸してはいただけませんか…?」
(あれ…、どうして味方になってくれないのでしょう…。お父様の側近とはいえ、グラベルはずうっと昔からの仲ですし、素直に心情を伝えれば、と思ったのですが…)
断られることは予想していたアレクとは異なり、サリーナは少し焦っていた。
領主の娘であるからこそ邪険にされてはいないが、アレク単体では話すら聞いてくれないだろう。
食事をしながらも何度かアプローチし続けるが、なかなか首を縦に振らないグラベル。
(…お母様は味方してくれた、と言えたら話は変わるのでしょうけど…。まだ条件付きの状態で公にすることはできないし…)
メイサはサリーナ側につくと約束してくれたが、アレクと話し合ってから、という条件のもとであり、グラベルに告げることはできない。
「は、はい…。グラベルはお酒が好きですものね。」
「さあ、もっと飲んでちょうだい。グラベルは北部の地方酒が好みでしょう?うふふっ、昔貴方から聞きましたもの。長い付き合いですし、ちゃんと覚えていますわ。わざわざ今日のために取り寄せて手配したのですから、お好きなだけ…」
アレクから『もっと酒を勧めるよう』耳打ちされ、立ち上がって酒瓶を手に取り、自らお酌をする。
幼き頃、酒が好きだと言っていたグラベルに対し、「なんのお酒が好きなの?」と聞いた際の答えが北部地方の地方酒だった。寒い地域は酒で温まる習慣があり、そこで作られる酒は大層美味いと、よく理解していないサリーナに告げたのだったが、そんな昔のことでさえも覚えているサリーナに感動すら覚えた。
姫に酌をさせるのは抵抗があり、断ろうとするが、サリーナはもてなそうとして譲らない。結局申し訳なさそうにグラベルがグラスを差し出したが、一悶着あったせいで、サリーナのグラスに薬が混入されたことには2人とも全く気が付かなかった。
「このお酒、お母様が昔住んでいた領地のお酒だそうです。北部のお酒は度数が高くて、私はあまり飲めないのですが…、グラベルとお話ししているのは楽しくて、お酒が進んでしまいますねっ、うふふっ」
機嫌を取るための方便ではなく、真実の言葉。
2人の関係を味方する交渉の他にも、他愛のない会話を交えていたが、長らく父の側近であるグラベルと話していると、城に戻ってきたという実感が湧いてきて、感慨深いものがあった。
酒は苦手であったものの、グラベルが好きだとリサーチした酒類はどれも美味しく、いつも以上に口にしていたのも事実だったが、ふと視界がぐにゃりと歪み、白く点滅したように見える。
「あれ…、ぁ、ぇ…、ほんの、少しだけ…、酔っちゃった…、みたいです…。」
酒を多量に摂取した身体で、酒と混合した睡眠導入剤を口にしたためか、効果覿面で、ソファに沈み込んで目を瞑るサリーナ。
おでこに手を当て、ふぅふぅ、と深い呼吸を何度も繰り返す。
(お酒、飲みすぎちゃったかしら…。アレクは、やっぱりそばに居てくれるのね…、大好き…)
薄目を開けると歪んだ視界が戻っている一方で、フワフワした感覚が強まってくる。
視界の端ではグラベルが部屋を出て行ったのが見え、アレクが心配そうに覗き込んでくるのが見えた。
「もう、アレクは心配性…ですね…。もう健康なんだし、もっと飲めるんです…、本当は…。」
アレクが体を軽く揺すり、ベッドに連れて行こうとする。
まだグラベルを味方につけられていないし、酒に酔ってリタイアなど許されない。
だからサリーナはソファの上でもぞもぞ動いて抵抗し、『まだここにいる』と意思表示したのだった。
ドレスの裾は捲り上がり、太ももが大きく露出する。
「暑い…」と呟き、胸元をパタパタ扇ぎ、乱れた着衣。
城を出る末期の頃や、痩せていて気の毒に感じるような姿であったが、健康になればなったで、男にとっては猛毒とも言える身体であった。
女神のような美貌に、男性の理想とも思えるような肢体。主君が溺愛する愛娘であり、触れてはいけない逆鱗そのもの。しかし、これを目の前にして、理性を保てるだろうか。ましてやサリーナの手によって十二分にアルコールが入ってしまっている。
「アレク…、愛してる…、大好きです…っ」
目の前の男をアレクだと思い込み、屋敷を出たのはグラベルだと勘違いしている。
甘く脳を蕩けさせる吐息でグラベルに囁いて狂わせる。
我慢の限界を迎えたグラベルは唇を奪ったが、サリーナは当然相手をアレクだと思っているため、いつものように舌を差し込んだ。
「ぁむっ、ちゅっ、ん…っ、ぁむっ、ちゅ…っ❤︎」
唾液は桃の果汁のように甘く、差し込まれた舌はしゃぶって舐っても飽きが来ない。サリーナも今日の準備のためにアレクとの時間も取れず、ルシアが毎日丹念に『マッサージ』した甲斐もあり、欲求が溜まっている。
濃厚で長いキスが始まった。
サリーナはアレクとのキスに慣れていて、相手が止めるまでサリーナもやめない。
手を繋ぎ、グラベルと恋人のような長い口付けを交わした。
「…んはぁっ、んっ、…ゃんっ❤︎もう…っ、グラベルが帰ってきたら…っ、怒られてしまいますよ…っ、ぁんっ❤︎」
アレクとの行為の前は必ず口付けを交わしているせいで、身体はすでにSEXの準備をしていた。
敏感になった身体は、ドレスの上から乳房を揉まれたとしても刺激に対して悶えてしまう。
胸を揉まれ続けても抵抗はなく、もぞもぞ身を捩りながら、ポーッとグラベルを見つめ続ける。
潤んだ瞳はまるで恋する乙女で…、据え膳を目の前にしてグラベルも辛抱たまらず、鍵の確認に消えて行った。
「アレクぅ…、なんで置いていくのぉ…っ、もう…っ」
アレクが自分を置いて出て行ったと勘違いし、ぷくっと頬を膨らませ、ゆっくり目を閉じる。
ふかふかのソファはベッドのように感じ、もうすぐで寝息を立てそうだったが、慌てて戻ってきたグラベルを見て笑顔に戻った。
「アレク…っ、私を1人にしちゃダメですよっ、私たちは夫婦なんだから、いつまでも一緒ですからねっ」
酩酊しているとはいえ、葉が浮くようなセリフ。本来は手が届かない令嬢からこれだけ愛を向けられている使用人風情に嫉妬の炎が燃えだす。
背中のファスナーを下され、ぐいぐい引っ張ってドレスを剥がされるが、サリーナは腰を浮かせたり、自ら腕を引き抜いたり、脱衣にむしろ協力的だった。
「うふふっ、涼しい…っ。…あっ、ドレスがシワになっちゃいます…。ルシアに叱られてしまいますわ…。」
純白の下着。上下のそれには金糸が編み込まれていて、デザイナーがレース模様を施しており、希少な宝石が散りばめられている。
サリーナの容姿と相まって神々しさすら覚えるものだが、ほんのり赤みがかり、汗ばんだ身体は劣情をそそるものとなる。
ブラジャーを剥ぎ取られても地面に放り捨てられたドレスが気になっていて、そんな態度すらも自分に夢中にさせたくなる。
「ぁんっ、アレクっ、ぁんっ、ぁぅ、ひゃぁんっ❤︎」
グラベルが乳首にむしゃぶりつくと、びくんっと弓形に跳ね、軽い絶頂を迎える。
たちまち立つ乳首に歯を立てたり、強く吸い付いたりするが、強い刺激はむしろ好物で、広い部屋内に嬌声が響く。
生の胸はスライムのように柔らかくて弾力があって心地よい。
乳首は固くて大きく敏感で、娼婦のように仕上がっている。
乳首への愛撫だけでも二、三度浅くイってしまった。
もはや我慢ならないグラベルは衣服を脱ぎ捨て、聳り立つ肉棒を眼前に突きつける。
「ぁんっ、もう…っ、顔が汚れてしまいます…っ、んっ、…すんっ、すん…っ」
ペニスからは我慢汁が垂れ、顔に押し付けられるたびに「ぴちゃっ」と音が鳴る。
後でグラベルが戻ってくると思ってるサリーナは少し嫌がるが、目の前の雄フェロモンの匂いを鼻を鳴らして嗅ぎ、顔が我慢汁でベトベトになっても気にせず、ペニスに目が釘付けになる。
そして、耳元でしゃぶるように誘導されるが…
「ぅ…っ、うぅっ、嫌ですっ!」
これまでのサリーナの反応から、アレクのフリをしておけば断られることのないと思っていたグラベルは戸惑う。むしろ、酔いが覚めてしまい、正気に戻ったと心臓の鼓動が強くなっていくが、
「たくさん頑張ったのに、今日はまだ「愛してる」って言ってもらってないです…っ。」
ぷいっとわざとらしく顔を背ける。
元来甘え性だが、酔いのせいで加速している。レイウスやメイサに向けられるものと同じものをアレクに見せている証拠だった。
付き合いたてのカップルのようなものを見せつけられ、今だけでも「寝とってやりたい」という欲を生み出す。
「あ、愛しております、サリーナ様…」
アレクのフリでサリーナに囁く。
「私もです…、アレク…。ちゅっ、ちゅっ、んっ、ちゅっ❤︎」
機嫌を良くしたサリーナは何度もペニスに口付けし、その下の玉袋にさえ何度も小刻みにキスをする。
サリーナらしい丁寧さだが、それは貴族というより高級娼婦のソレだった。
驚きも束の間、グラベルのペニスが湿った温かい感触に包まれる。
「んっ、んっ、ちゅっ、ん…っ、ぁむっ、ん…っ」
主君の娘が自分のモノを咥えている。
まだ元気だった幼少の頃のサリーナが走馬灯のように脳内を駆け回り、舌足らずな声で「ぐらべるっ」という声さえ幻聴が聞こえる。あまりの背徳感に興奮は止まらず、気がつけばサリーナの頭を掴んでいた。
仰向けの姿勢ではサリーナも上手くペニスを咥え込めず、亀頭のあたりを咥えて舐めているだけだったが、グラベルが頭を抑え、ソファに押し付けるようにペニスを突き立てた。
「んぐっ、ん…っ、ん゛ぶ…っ、んっ、んぐぅっ!!」
喉奥まで突き刺さり、細い喉に凸凹が現れる。
レイウスやサリーナに恨みはなく、むしろ感謝を覚えているはずだが、主君の娘を汚すことがこれほど気持ち良いのか。
やりすぎたことに気がつき、慌ててペニスを引き抜くが、唾液や我慢汁で太い糸を引き、髪は乱れて涙目になっているサリーナと目があった。
「げほっ、げほ…っ、今日はっ、げほっ、一段と激しいのですね…っ。私も負けていられませんね…っ、ふふっ」
無理やりイラマチオしてしまったにも関わらず、サリーナはこれだけだった。
普段のSEXを想像させられて戸惑う中、サリーナはソファからずり落ちるように降りて、床に座る。
「アレク、ソファに座ってください。やり辛いので、いつもの姿勢で…」
グラベルがソファに座ると、いきり立つペニスに正座のまましゃぶりつく。
金に光る後頭部が上下し、仕えるべき相手が跪いて奉仕している姿を目の当たりにして勃起が止まらない。
これはレイウスはもちろん、デオドールも味わうことはできない優越感。
「んっ、ちゅっ、出ひほうになっひゃら、んっ、言ってくらはい…ね…っ、んっ」
サリーナは一生懸命舌を使って奉仕し、上目遣いでチラチラ様子を伺う。
自ら喉奥を使って根元まで咥え込むテクニックは娼婦顔負けのもの。
(今日のアレクのは…、ちょっと小さいような…?)
決して小さくはないグラベルのものだが、女泣かせのアレクと比べると少し見劣りする。
些細な違和感を抱きながらも、薬と酒は正常な判断を阻み、サリーナに奉仕を続けさせた。
【大変お待たせした上に続きまで…。非常に嬉しいです。どこかで水を欲したサリーナに、シラフに戻られるのを恐れたグラベルに水と偽って白ワインを飲ませられたり…とか、そういったのもドキドキしてしまいます】
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