「…へ?えっと、特には何も…。ど、どうしてそんなことを…?それより、今日のディナーは…」
(食堂やお庭であのようなことをしたなど…、うぅ、言えるわけもありません…。)
快楽を求め、外に裸で飛び出し、自慰に耽たなど口が裂けても言えない。
しかし、元来嘘や隠し事が苦手なサリーナ。
何かを隠すようにぎこちない返答を見せるサリーナには、アレクでなくとも違和感を覚えるはず。
無理やり話題を変えようとするが、アレクの追及は止まらない。
「え?ぁ、あの、お店で一緒に買ったモノですよね…。はい、使わせてもらいました…。」
(どうしてたくさん聞いてくるのかしら…。お話を変えようとしたのに…)
馬車に揺られながら、アレクの問いに答える。
じわりと嫌な汗が滲み、緊張しながら、目線を泳がせて…。
押すようにさらに質問してくるアレクに対し、少し唇を尖らせて不満を示すサリーナ。
このまま続けると逆効果であることを判断し、アレクはやり口を変えた。
「えっ、いやっ、違うのです…っ!簡単にお話しできないほど、その、みっともないと言いますか…、恥ずかしいお話が…」
(悲しませるつもりはなかったのに…。変に見栄を張ってしまったせいで…。もう全部話してしまいましょう…)
悲しそうな顔を見せるアレクの様子は効果抜群であり、慌てて口を開くサリーナ。
「いつものように道具を使って、身体を触ったのですが…、どうも上手にできなかったのです。だから、その…。いつもと違う、その…汚らしいかもしれませんが、食堂で…、ご飯を食べるテーブルの横でシてみたのです。少しは良かったのですが…、それでも気をやるには…。」
恥ずかしくてアレクの反応が見られず、目を伏して、話すサリーナ。
アレクはサリーナの変化にニヤつきを隠せずにいた。
「だから、その…、お庭に出てみたのです…。はい、裸で…。誰も近寄る場所ではありませんし、公園でした時のような…、あの快感が得られるのかと…。はい、その、道具を使って…、ええ、気をやれました…。」
およそ表に出ることはなかったはず、秘められていたはずのM気質と露出体験が合わさり、開花を始めた様子。
少しずつうまく事が運んでいる実感を得たアレクは、再び公園に誘いだした。
「…はいっ」
サリーナとしても願ってもない話。
またアレクと湖畔をデートができるうえ、外でエッチができる。
2日放置された身体はすでにザーメンミルクを求めて疼いていた。
「あわわっ、見て見てっ、アレクっ!東国のお人形ですっ!初めて見ました…っ」
「これは砂漠の向こうの国の…。ど、どうですか?似合っていますでしょうか…」
街を歩き、祭りとは異なる風情を楽しみ、はしゃぐサリーナ。
店の前で止まっては品物を見て、サリーナに鼻を伸ばした店主には、異国の娘衣装を試着を勧められた。
暑い気候にあるものであり、薄い布のズボンやヘソ丈ほどの上着、腰ほどまで長い頭巾。煌びやかで、しかし少し安っぽい腰飾りなどを身につけ、アレクの前に現れる。普通の衣装ではあるはずだが、薄い生地のせいで身体のラインがくっきりしており、夜のコスプレのようにも見える。
食事を済ませ、心地よい風に髪を靡かせながらアレクを見つめる。
(一生こうしていられたら…。でも、病気が治った以上、私は私の務めを…。アレクと一緒にいたいと告げたら、お父様やお母様はどう思うでしょう…)
アダルトショップに寄ってから、公園へと向かう。
少し恥ずかしい目に遭う覚悟はしていたものの、一周回ったくらいで早々に退店し、馬車に戻った。
拍子抜けたまま、公園へと着いた。
「〜〜〜♪あっ、アレク…っ。今日も誰もいないみたい…っ。2人だけで楽しめそうですねっ、ふふっ」
東屋の電灯はどこもついておらず、2人っきりを喜ぶ。
ただ聞けば、2人だけの空間を喜ぶようだが、事情を知るものが聞けば、エッチができることを喜んでいる卑猥な喜びだった。
ウキウキで手を振りながら歩くサリーナだったが、アレクからの耳打ちを聞き、目を見開いて驚く。
「…えぇっ、覗き魔って、何を覗くの…?」
歩みを止めず、小声で分かりきったことを聞く。
恋人同士がよく利用するこの公園。
雰囲気良くて恋人が集まるとなれば、何を覗くかはさすがのサリーナもわかる。
「え、え…っ。それは、その…。」
(覗かれてると思って、公園でシたり、庭でシたりしたけれど…。本当に人がいる中で…、アレク以外に身体を…?い、いやっ、無理ぃ…っ!…でも、アレクの言う通りで、二度とこんな機会はない…。少なくともお城に戻ったら、きっとお勉強事ばかり…。アレクとも容易に会えなくなって、こんな触れ合いは…。)
他人に肌を見られることを想像して顔を真っ赤にし、次に青ざめて拒絶を示す。コロコロ変わる表情で、サリーナが何を考えているかは、長い付き合いであるアレクにはお見通し。
しかし、最後にはやはり思い直して、小さく頷いた。
「ぜ、絶対守ってください…ね?私、アレク以外の殿方に触れられるのなんて、嫌ですからね…?」
それは賛同を示す言葉。
あまり大袈裟にならないようにしながらも、アレクに抱きつくように身を寄せた。
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