「…ん、アレク。その、今度来た時は…。」
馬車の中は、微かな振動を感じつつ心地よい温度で満たされており、瞼が少しずつ閉じつつある。
元々緩やかな雰囲気を纏っているが、一層強まっており、時折目を閉じては開けてを繰り返している。
セックス以外は激しい運動はなかったとはいえ、普段よりも遅い時間に起きていることもあって、激しい眠気を覚えていた。
(アレクとのお出かけ…、貴重な時間ですから、少しでも起きてたい…。)
とは思っていたものの、限界も近く、アレクに諭されて眠りについた。
アレクの肩にもたれかかり、腕に手をかけて捕まり、目を閉じた。
邪悪な考えを持つアレクとは対照的に、今この瞬間が人生で最も幸せと思えるほど、幸福で優しい時間に感じていた。
「…すぅ、すぅ…。…ぅうん…っ、ふわ…ぁっ、おはお…ございま…す…。アレク…、ちゅ…っ」
普段から早起きのサリーナだが、今日は昼過ぎまで全く目が覚めなかった。
美しい容姿、完璧な凹凸の身体、出自も良く、嫌味な部分がない性格となれば、王族や貴族たちが欲しがるのも当然。病気でなければ今頃は、隣国の王妃だったり、または大商人の妻だったり…。少なくともアレクの視界に入れることすら難しかったかもしれない。
体力を使い切ったサリーナの眠りは深く、日課としているアレクよりも早く目覚めてフェラチオをすることもできず、アレクに揺すられてようやく目が覚めた。
目覚めがいい方だけど、まだ眠気強く、瞼を擦る。
しかし、アレクの顔を見ては抱きつき、唇を重ねた。
「昨日は疲れましたね…、すっごく寝ちゃったわ…。お日様も心地よくて…。夢でもアレクとデートをしていました。ふふっ、それではお湯をいただいてきますね…。」
死んだように眠るサリーナを馬車から下ろし、部屋まで運んだのはアレク。体を軽くは拭いたものの、手足を清めた程度で、身体はやはり汚れている。キツい締まりの膣の中には、まだアレクの精液が残っているほど。
アレクの手をとって起き上がり、軽やかな足取りで浴室へと1人で向かった。
数ヶ月前のサリーナであれば、ありえない光景だった。
「次のお出かけも楽しみ…っ。ザーメンミルクをいただくようになってから、本当に調子が良くて…、まるで病気が無くなっちゃったみたい…。」
湯に浸かり、次の外出のことを考えていた。
想いを伝え合い、結ばれた2人。あの花火のことを思い出すと、1人であっても顔が赤く熱くなる。
そんな純情なサリーナだったが、湯から上がれば、股割れ赤いショーツに隙間が空いた赤いブラを身につけ、シースルーのネグリジェを纏う、娼婦のような格好でアレクの前に現れた。
日常と化しており、恥ずかしがるそぶりもなく、食卓につく。
朝食をとっていないこともあって食が進むが、レイウスの名を聞いて、スープを掬う手が止まる。
「お父様から…?な、なんと書いていたのです?…、デオドール…、懐かしい名です。お屋敷にいた頃、ずいぶん良くしてくださいました…。」
デオドールとグラベルは、支えている主人が溺愛している娘とあれば、接点も多く、一人娘のサリーナからすれば、兄のような存在であった。
「少し…、いえ、とっても寂しいのですが、お父様の命ならば仕方がありません。デオドールにも、また会ってたくさんお話がしたい、と伝えてください。」
レイウスやメイサはサリーナを溺愛しているとはいえ、アレクとの婚約など当然認めるはずもなく、反対される。
サリーナもまた、2人のことを心から尊敬し、愛しているとなれば、それに従ってしまうだろう。
アレクの野望を叶えるには、サリーナ自身が両親に逆らい、周囲の反対も押し除けてでも、アレクと結ばれることを主張しなければならない。
サリーナをより一層深く堕とすしかない。
「…アレク、私のハンカチーフをお持ちください。その、寂しくなったら、私の匂いを思い出してくださいね…。それと、私の身体の状態をしっかりお伝えください。アレクのザーメンミルクが効き、病気は完治したと…。ああ、お父様、お母様…、ようやくまた会えるのですね…。とても長く、当初は苦しい生活でしたが、アレクが側にいてくれて、とても幸せでした。どうか、無事に帰ってきてくださいね…っ!」
アレクの別れ際、シルク製の高級ハンカチを手渡し、アレクに持たせる。
父や母に再び会える、そう思うと感極まり、ぼろぼろ涙が出てしまう。
野望に向け、考えを巡らすアレクに対し、馬車が見えなくなるまで大きく手を振って見送るのだった。
【ありがとうございます、そして、いつもお返事が遅くてごめんなさい…。場面転換了解いたしました。メイサの役ももちろん任せてください。小柄な体格で社交的で明るい性格ですが、思慮深いようなキャラクターをイメージしております。まだ先かもですが、リクエストなどあればお受けしますので、その際はいつでも仰ってください】
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