「正式に、ですか…。うぅん…。」
正式に契りを、と話を持ちかけられると、人の良いサリーナも口元に指を当てて思案する。
嘘の関係ならごっこ遊びの延長かも知れないが、『正式』と付けば、もはや後戻りはできなくなる。家柄を考えると悩むのも当然。
(正式な夫婦関係などと、私の勝手で決めて良いのかしら…。フローレンスの名を与えられてる以上、きちんとお父様に話を…。)
じっと考え込み、無言の時間が続く。
少し重い空気が漂い、時計の秒針が進む音だけが部屋に響く。
(でも、こんな話お父様にしたら、それこそアレクは…。斬首、なんて物騒な話…、お父様ならしかねないかも…。アレクの方が世のことについても詳しいのだし、任せてみても良いかしら…。愛し合う関係ではないけれど、どうせこのままいけば、私は結婚などできるはずもないのだし…。)
二、三分黙り込んでじっと考えた後、ゆっくり目だけあげ、上目遣いでアレクを見つめる。
「分かりました。それでは正式に結びましょう。そもそも私の方から非常識なお願い事をしているわけですし、アレクの身の安全は確保しなくてはいけませんしね。」
お疲れ様です。
私もお返しできない時もありますし、時間はお気になさらず
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