(イくっ、イっ、イく…っ、だめっ、我慢しないと…っ、うぅっ)
「はっ、はひ…ぃっ、あの、っ、ぁっ、うぅ…んっ!!」
どうでもいい会話を引き延ばされながら、ゆっくり一個ずつ玉を引き抜かれていく。
半分を過ぎたあたりから快楽が蓄積し、絶頂を我慢しながら、表情を歪める。
10秒ごとにぎゅっと表情を歪めるため、いつアナルパールが引き抜かれたか、店主を含めて男たちに丸わかりだった。
「は、ぃ…、アレ、あの、主人は…っ、ぁ、ぉ゛ぉ゛ッ!!」
狭い店内に野太い声が響く。
額に汗で前髪が張り付き、端正な顔立ちの美女が雌の表情で歯を食いしばっている。
目の前の女が気をやったことは明らかであり、ゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえる。
町娘でありながら、おそらく育ちがいいであろう気品が漂う女が、娼婦顔負けの声を出す姿に興奮しないわけがなかった。
(やだっ、やだやだやだっ、イっちゃった…っ!!もう最悪っ、アレクのばかばかばかっ!!)
深く強い絶頂を迎えたが、余韻に浸る前に、集まる視線に気がつき、慌てて試着室のカーテンの奥にに引っ込む。
スカートの裾を直し、アレクに連れられて店内に戻ったが、耳まで顔を真っ赤にしており、アレクの背中に隠れるようにして縮こまっていた。
「奥様の綺麗な肌には、むしろこのくらい派手な下着が…」
「奥様は品の良い出立がお似合いでありますので、夜はこちらの首輪など…」
「奥様は…」
『奥様は』『妻は』が何度も会話に現れ、その度にさらに小さくなるように、アレクの背中に隠れる。
いろんな商品が目の前に出され、似合うとかなんとか言われるが、とても直視できるようなものではない。
その上、欲しいかどうかを都度聞いてくるため、俯いたまま何度も頷く時間が過ぎた。
会計を済ませて店主に見送られるまで、ずっと俯いて口を噤んでいたが、少し路地に出ると、涙をたっぷり溜めながら、アレクを見上げて睨みつける。
「ひどいですっ!!あんなに恥ずかしい思いをしたのは初めですっ、嫌だって何回も合図したのにっ!!」
怒ったりすることは人生において数える程度しかないサリーナだが、珍しくぷりぷり怒りを露わにした。
(まあ、そりゃそうだろう)と予想していたアレクは、優しく頭を撫でながら宥め、「サリーナ様もドキドキしたのでは?」という言葉に、目を見開いて固まった。
ドキドキという表現は核心をついていて、あの高揚は快楽や興奮とは自覚していないが、すこぶる昂ったことは覚えていた。
(確かに、あの時、一個一個引き抜かれるたびに、全身が震えるくらい心臓が高鳴りました…。普段とは違う刺激だから…?恥ずかしかったけれど、それが気持ち良いということもあるのでしょうか…?)
少しの沈黙だが、図星であることは明白だった。
「…キ、キスしてください…。じゃないと、許しませんから…っ。」
苦笑いしながら身を屈め、背伸びするサリーナに軽くキスをするアレク。
さながら本当の夫婦のようだった。
「〜〜〜♪恥ずかしいことも気持ち良いのですね、そんなことがあるなんて…。お母様もあのようなお店に行くのでしょうか?」
口付けをして、甘い言葉で宥めかせると、うってかわって上機嫌になり、鼻歌まじりに路地を歩き始めた
※元投稿はこちら >>