「っえ、神林さん…??」
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには今一番会いたくない貴方の姿が。
私服だった為一瞬顔だけで判断するのに時間がかかって呆けている間に、哉の向かいの席に座って昼食を始めて。
本当ならきっぱりと拒否するか自分が退席したいところだが、職場の上司相手にそれも些か派手な態度だし、それに哉のタルトも紅茶もまだ余っている。
断る間もない様子に哉は小さく溜息を吐きながらスマホを取り、検索していたページをスライドして消す。
「(相席良いなんて言ってないのに……、
職場で見ない様にしてたけど、この人がご飯食べてるの初めて見た、かも…)」
意図的に関わらない様にしていた会社の人間が、休日に、しかも私服で、自分の目の前でサンドイッチを頬張る姿を哉はぼーっと眺めてしまう。
「どうして私が神林さんの買い物について行かなきゃいけないんですか…?神林さんの周りには、そういった女性が沢山居るでしょう、」
視線を伏せたまま哉もタルトを頬張り、咀嚼する。
ツンとした態度でタルトを咀嚼する姿は年不相応の幼さを感じるが、唇に付いたクリームを指で掬ってちろりと舐める姿は少し妖艶な雰囲気も垣間見える。
「あまり冗談ばかり言っていると、本当の彼女さんに怒られますよ。」
視線を貴方に合わせて毅然とした態度で言い放つ。哉自身は貴方のことを恋人だと認識していない、ということをはっきり言動で示す。
【そうなんですよね、笑
やりたいこといっぱいあるし希望も聞きたいし全部やりたいしで、何でも詰め放題になっちゃうと欲張りになっちゃって訳分かんなくなっちゃいますし、笑】
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