咲夢さん、こんにちは。
この前まで暑い暑いと言ってたと思ったら急にこの寒さ。寒暖差が辛いっす。
異常気象とやらの影響で、秋らしい秋ってこのまま無くなっていちゃうのかなぁ・・・
【本編です】
散歩を終え、部屋に向かうため旅館内を歩きながら、
『(昨晩温泉に入ってた時に聞こえた水音は母さんか。こっちで聞こえてたってことは、向こうでも聞こえてたんだよな…)
母さんも部屋の露天風呂使ったんだ。
家族風呂や大浴場も良かったけど、部屋の露天風呂も気持ちよかったよね、月が綺麗で景色も良かったし。』
<そうね…(いやに饒舌ね、胡麻化そうと必死なのかしら(笑))
もう食事も用意される頃でしょうから、こっちの部屋で一緒に待ってましょう。(これ以上は武士の情けで勘弁してあげる(笑))>
将は、咲夢の方を見て
『どうせだからそうさせてもらおうか、咲夢。』
涼香が鍵を開けて部屋に入ると、朝食の用意はすでにされているが啓輔の姿がない。
<あらっ、啓輔さんどこに行っ……>
涼香が言い終わらない内に、外から水音が聞こえてくる。
<私がいなかったから、お風呂使ってたんだ…もしかしたら内線で咲夢達の部屋にも連絡したかも(笑)>
『母さん、俺達一度部屋に戻ってるよ。お義父さんの用意が終わったら連絡して。』
将がそう言うと、松の間を出ていく咲夢と将。
暫くして、浴衣姿でタオルを肩にかけた啓輔が姿を現す。
<涼香、君がいなかったから温泉使ってた。朝食の用意のインターホンで起こされてね。どこか行ってたの?>
<えぇ、ちょっと散歩に……一応起こしたんですけど、よく寝てらっしゃたから。途中で咲夢達に会いましたから、一緒に戻ってきました。さっきまで咲夢達いたんですけど、気を使ったのか一度部屋に戻ってるって……>
<そう……だからさっき内線で電話しても出なかったんだ。今着替えるから、将君達に連絡してくれる?>
<浴衣のままで大丈夫ですよ。もうお腹ペコペコだから、着替えは食事終わってからにしてくださいな。>
涼香はそう言うと、咲夢達に連絡、程なくして咲夢達が部屋に。
<おはよう将君・咲夢。悪かったね食事待たせてしまって。>
『おはようございますお義父さん。昨晩は大分きこしめてらっしゃって、気分はどうです?残ってませんか?』
<大丈夫。温泉使ってシャキッとしたよ。さあ食べようか。>
啓輔がそう言うと、皆座卓の上を見るが、
金目鯛の開きや生卵・海苔などは並んでいるがご飯と汁物がない。
<あらっ、ご飯と汁物が無いようですけど…>
<そうだ…連絡貰えれば、ご飯とみそ汁は温かいの運んでくれるって、仲居さんが言ってたんだ。>
フロントに連絡すると、程なくしてご飯とみそ汁が運ばれ、一同いただきますをして食事が始まる。
半分ほど食事を進めた時に将が、
『お義父さん、帰り寄るはずだった吊り橋、今日は風が強くて渡れないみたいです。代りにどこか寄りたいところありますか?』
<そうかぁ…それは残念だな。>
言いながらも、どこかホッとした表情の啓輔。
【久しぶりに林編。(笑)】
<すず…すずちゃん……早く合宿終わらないかな。
仕事に精を出すから大丈夫って、山神には啖呵切ったけど、流石に長い……会いたい、声を聞きたい、君に触れたいよ……>
オフィスにいながらもどこか上の空の林。
そのデスクの上には自分が作った、乗馬服姿でヘルメットを小脇に抱え、愛馬ヤマト号の隣で微笑む、橘鈴子のフィギアが飾られている。
<えっ、これって……>
<ん、どうした?〇〇君。>
その声を聞き我に返り、〇〇の後ろに立つ林。
<い…いや何でも……>
急いで見ていたHP(画像)を最小化しようとした〇〇だったが、一足遅く、
<仕事中に何見てるんだね君は……マウスから手を放して…>
<すいません。今度の物件の参考にできる建築物が無いかと、色々見ていたところこの画像に行きあたってしまって…>
しょうがなく、表示されているウィンドウはそのままに、膝の上に手を置く〇〇。
〇〇が見ていたウィンドウを覗き込んだ林。
<こ…これは…な……なんですずちゃんの顔の、こんな破廉恥なフィギアが……>
そのウィンドウには
馬の横に座り込み、その長い一物を手に取り、自らの頬に寄せる橘鈴子の顔をしたフィギアが…
<〇〇君、この画像はどこから?>
<……左上の矢印で戻って下さい。そうすれば建築物を見てたの分かりますから。>
パソコンを操作する林。
<オークションサイトか…かなり前に落札されちまってる。それにしても誰がこんなもの作って、出品しやがったんだ。。この顔はどう見ても…>
将が咲夢の海賊版エロフィギアの存在を、さくらラブこと沢街博史からのメールで知るのは、もう少し後の事。
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