咲夢さん、こんにちは。
十分に休養取ってください。。
本編です。
廣末亭の玄関で交わされる楽し気な会話を黙って聞いている将。
『(あまり冷たくしないようにか……絶対にってわけじゃないんだ(頭の中で苦笑) まぁしかしわからんでもない部分はあるな…どこの馬の骨ともわからん男がぽっと現れて、妹の忘れ形見の大事な姪っ子と、交際どころか……この感じだとやはり、一番の難関はお義父さんより彩葉さんか。)』
そんなことを思っていると、咲夢が
「…花嫁姿をお見せしたいし子どもも……幸せに過ごしてる家庭もお見せしたいです。」と。
その咲夢の言葉を聞き
<山神さん、もうそんな話になってるの?>と驚く彩葉。
両親はなぜか驚きと言うよりも、<(ああ、やっぱり。)><(ほら、見なさい。)>というそれぞれの表情を浮かべ目を交わし合っているが、咲夢と将はそれには気が付かない。
その場の空気をとりなすように発せられた仲居の言葉に従い、離れの座敷に移動する一行。
座敷に入るとなぜか自然に、床の間を背負い義父と母、その対面に咲夢と将、義父と咲夢の間に彩葉と言う形で…
飲み物が運ばれ、仲居が席を外すと、将は座布団をどかして畳の上に正座し、
『お義父さん、母さんそして彩葉さん。まだずいぶん先の話ではあるんですが、お…いや僕と、咲夢…咲夢さんは、咲夢さんの大学卒業を待って、けっ…結婚をしたいと、考えています。咲夢さんには前に承諾してもらいましたが、三人にも結婚を許してもらいたいと思っております。』
そう言って、額が畳に付くくらいに頭を下げる将。
少し間を置き啓輔が言葉を発する。
<そう…そうか。二人の間では、もうそんな話まで……私にとって咲夢は実の娘、将君も戸籍上は関係ないが義理の息子。涼香にとって、将君君は戸籍上の関係が絶たれたとはいえ実の息子、咲夢は義理の娘、その二人がそんな風な関係になるとは…私と涼香が再婚したときに、将君君の籍を入れなかったことが、良かったのか悪かったのか……咲夢…君は本当に…>
言い終え、<(こんな感じでどう?)>と言う風に、隣の涼香に目配せする啓輔。
彩葉だけはまだ、驚愕から立ち直れていない。
【貴公子編】
客にワインを注ぎ終え、その場を離れようとする深田だったが、客から
<深田さんと言ったかな?深田さん君なかなか男前じゃないか?いい人はいるのかい?>
店の格式には似合わず小指を立てる客。
<は、、はぁまぁ…私の事などお気になさらずお食事をお楽しみください。では、失礼いたします。>
そう言ってその場を離れ、そのまま休憩に入る。
休憩室でスマホを起動し
<いい人?…あほくさ…言い寄って来るマダムをつまみ食いしてれば、性欲は発散できるし、誰が好き好んで…>
起動したスマホを操作して、【私立〇〇女子学園、少女さくらの成長記録】を表示させ、有料会員サイトに入る。
<これくらいの可愛い子が相手なら、考えないでもないけど…なかなか他にいないだろうし、かといってさくらちゃんは、ショウに夢中で他の男には興味もないだろう。俺も勝敗が分かってる勝負に打って出るほど、若くはない(笑)>
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