思い出したくも無い過去を性的に消費していた拓海に対し、罵詈雑言をぶつける夏芽。
次郎により疑心が募っていた中での事態だったため、もはや止まらない。
思っていたことや思ってもいないことまで口に出て、涙と共に吐き出されていく。
「…お母さんに似てるから、私に優しくしたってことっ!?お母さん美人だもんね、拓海が襲っちゃうくらいにっ!!」
息切れをするほど怒鳴って叫ぶヒステリックな夏芽に、拓海も次第に苛立ちを覚えてくる。
ジムでのことを指摘され、少しだけ詰まってしまった。
(…なんで、それを…?また『夏芽の部屋』にあげられていた…?いや、でもお義父さんとは関係なさそうだったし…)
何故拓海が知っているのか…。
わからないけれど、もう2人は止められなかった。
「それはちが…っ!私だって好きでやってないに決まってるでしょ…っ。そんなことより、見てたんだったら、助けてよ…っ。またオカズにしてたってわけ…っ!?」
散々言い争い、拓海の「結局気持ち良かったら誰でもいいんだろ」という言葉で、遂に夏芽は
ボロボロ涙を流し、次郎から逃げ出す時に拓海から貰った、指輪をカバンから取り出して投げつけ、部屋を飛び出した。
(みんな気持ち悪いっ、最低、最悪っ、嫌い嫌いっ!拓海なんか、大っ嫌いっ!!)
みんな身体目当てで近寄ってくる。
もはやそうとしか思えなかった。
泣きながら、電車に飛び乗り、かつての街を目指す。
(…みんな身体目当てなら…。気持ちよくしてくれるお義父さんのところに…。どうせ、今回みたいに逃げられないんだし…、お母さんもいてくれるし…)
2人のすれ違いは、拓海にも甘いところがあったとはいえ、次郎が画策したもの。
そんなことには全く気が付かず、手のひらの上で踊り続ける夏芽。
次郎の思惑通り、実家のインターホンを鳴らした。
「…拓海と別れた…。拓海は、私のこと好きじゃなかったみたい…。身体が、好きだったんだ…。わたし、本当に好きだったの…。結婚して、お店を開いて、一緒に幸せになれると思ってた…。私、馬鹿みたい…」
扉を開けた次郎にボロボロ泣きながら呟き、ぎゅっと抱きしめられる。
その次郎の表情は歪んだ黒いものとは知らず…。
【かしこまりました。美奈子としては、夏芽が帰ってきたことは、拓海との破局(怒ってた次郎が何かしたのかも)を意味していて、悲しくはあるものの、やっぱり夏芽と一緒にいたい気持ちもあって…、みたいな感じで望みますね。)
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