「ち、違っ…!こ、これは…と、とにかく話を聞いてくれっ!」
必死になって話を聞くように叫ぶ拓海だが、取り付く島もない…拓海を睨みつける夏芽の目は怒りや侮蔑などが入り混じったもので、これまでに見たこともないもの…
何を言っても…というより何をどう説明したらいいのかも実際のところ、拓海にも分からない。
ただ自分のしたことが夏芽を激しく傷つけたことだけは紛れもない事実だった。
とにかく謝るしかない…今の拓海にできることはそれだけで、何度も何度も詫びの言葉を続けた。
次郎が全てをバラしたことが種火となり、拓海の安易な行動が火に油を注いだ…何を言っても夏芽に届くはずもない。
あまりにも一方的な罵りに拓海の中で燻ぶっていた不安が怒りへと変わる…
「そこまで言うんだったら…夏芽はどうなんだよっ!?美紀さんとこで夏芽は何をしてるんだ?」
「はぁ?なんのことっ?」
拓海がしことてジムの清掃に入ったことを知らない夏芽は怪訝な顔をする。
「この前、清掃にジムのあるビルに入ったんだ…そこで見たんだ…裸でリードに繋がれてる夏芽を…人のことを変態と罵る前に自分はどうなんだ!?」
さすがの夏芽も思わず口ごもるが、お互い感情的になっているため、売り言葉に買い言葉…どちらがいいとか悪いとかでない言い争いとなる。
「もういいっ!あんたの顔なんか2度と見たくないっ!」
夏芽はそう言い残すと玄関を飛び出した。
「勝手にしろっ!俺だって同じだっ!」
夏芽の走りさる後ろ姿に向かい拓海も叫んだ。
どのくらい時間が経ったのだろう…ふと時計を見ると針は25時を回っていた。
(さ、探さなきゃ…何をしてんだ…俺…悪いのは俺のほうじゃないか…もっと早くにちゃんと話をしてれば…こんなことには…)
拓海は外に飛び出した…どこに行ったか分からない夏芽を必死に探す…2人てよく遊んだ公園…待ち合わせをした場所…思いつく限りの場所を走り回ったが夏芽の姿はなかった…途中、パラパラと降り出した雨は本降りとなり拓海の全身を濡らした…
ほぼラストですが、家に戻った夏芽と次郎…それと美奈子を交えてやれたらと思いますが、どうでしょうか?
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