「…最悪、本当に…っ、酷い…っ。酷すぎるよ…、拓海、なんで…っ」
拓海は何も知らない。知ってて放置したり、オカズに使ったりなんかしていない。
そんなわけがない、そう思いたかった。
けれど、次郎が見せつける動画には、夏芽がトラウマにすらなった公園調教を目の前にして立ち尽くす拓海の姿がハッキリと映っていた。
動画越しで自分の姿を見ても、あの時を思い出して泣きそうになるほど怯えた声を出しているが、拓海がしたことを胸を触ること。
(なんで、拓海…?結局、身体目的なの…?クレープ屋さんの夢は、私の気を引いて、身体を使うためだけの嘘…?もうわけわかんない…。)
射精が近づき、激しいピストンになっても、もはや無反応。
夏芽にはそんな余裕すらなかった。
初恋で、最愛の相手の一面を見て、脳が処理し切れなかった。
(やっと射精した…。これから監禁されて、犯されるんだ…、拓海とか三宅みたいに…、勝手にすれば…)
もはや自暴自棄のようになっていたが、次郎が身体を持ち上げた。
背中と膝裏を腕で支え、お姫様抱っこする次郎。
「やめて、もう身体動かせそうだから…。」
そうは言っても、抵抗するわけでもなく、浴室に連れ込まれる。
椅子に座らされられ、身体に泡を吸ったスポンジを這わせられても、なすがまま身体を預けた。
「…ぅ、学校は嫌…。私に、その…、嫌なことする人たちいるから…。」
先ほどとは別人のように優しく、慈愛を感じさせるような次郎に、父性を感じ、態度を軟化させる夏芽。
それほどまでに拓海のことがショックで、精神が揺らいでいた。
「お母さんは元気…?…そう、良かった…。私も、お母さんと会えなくて寂しい…。」
戻る、とは明言しなくても、美奈子のことを口にしたら、夏芽も頷いた。
長らく母子家庭だった美奈子と夏芽の間には、親子以上に強い絆があった。
意志に反する別れになった以上、お互いが寂しがるのは当然だった。
(家までバレてたんだ…。本気出したら、逃げられないんだ…。部屋に帰るのは、怖いな…。拓海に会いたく…ないなんて、初めて…。)
髪を乾かしてもらい、服を着せてもらう。
車で送られている間も、外をぼーっと見つめ、終始無言だった。
「…ありがと。」
車から降り際、一言だけ告げた。
マンションのエントランスに入ったが、部屋に戻るのが怖く、エレベーターのボタンすら押せなかった。
(拓海居たらどうしよ…。また身体触ってくるんだ…、あの目つきで…)
見せつけられた動画の中の拓海のように、獣のように身体を貪られる。
これまで心が安らぐような行為だったが、今は到底そんなふうには思えない。
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