表面上は、何もなかったように振る舞ってはいたが、拓海の疑念は晴れるどころか日増しに膨れ上がっていた。
夏芽の態度などは何も変わったところはなかったが、一緒に風呂に入ったりベットと身体を重ねた時に乳房や太ももの付け根に虫に刺されたような跡を見つけることがある…夏芽に尋ねると「虫に刺されたのかなぁ…」とは答えるのだが、拓海にはどうしてもキスマークにしか見えない…
夏芽がどこかで浮気?とも考えたが、それだけはないと思う…だとすれば可能性として、やはりジムで見た女性が夏芽であるということ…
インストラクターとして働いているはずの夏芽が何故…人前で裸になり辱めを受けながらも、あの時の女性の横顔は一瞬しか見えなかったが、恍惚感に満ちた呆けた表情だった。
夏芽のそんな表情など見たこともないがため、あの女性と夏芽が同一人物だとは思えない…
拓海は、その考えを必死になって打ち消そうとするが、夏芽がどこかの誰かに抱かれる姿を想像してしまう…舌を絡めキスをし、乳房や乳首を吸われ、太ももにも…男の前で大きく脚を広げ、時には四つん這いになりペニスを受け入れ喘ぎ声をあげる夏芽を…
してはならない想像だが、その姿を思い浮かべるたびに拓海は激しく勃起する…何故か異様なまでに興奮してしむうのだ…
そんな自分に嫌悪感を覚えていた…
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「えっ?今日の競り値?う、うん…ビックリする値がついたわよ…100万…」
待合室で支度をしていた夏芽の所に美紀が顔を出した。その美紀に夏芽が美紀に聞いたのだが、美紀の答えに驚いたのは夏芽だった。
プレイルームから連れ出されて以来、競り値は高騰し当初の競り値よりはかなりの高値にはなっていたが、大台に乗ったのは初めてのこと…
「それでね…今日のお客様の要望だけど…」
いつもはハキハキと物を言う美紀にしては珍しく歯切れが悪い…
「夏芽ちゃんに…睡眠姦がしたいから…って…だから…寝たふりをして欲しいの…」
睡眠姦と聞いて夏芽も呆れた顔はしたものの「わかりました…」と答えプレイルームに向かいかけた。
その夏芽を美紀が呼び止めた。
「夏芽ちゃん…あ、あのね…ううん…な、なんでもないわ…」
何か言いかけた美紀だったが、思い直したように少し俯き言葉を濁した。
プレイルームに入った夏芽は、備え付けのベットに横になり天井を見つめた。
夏芽を競り落とした会員を待つこの時間は、拓海に対する罪悪感を覚える時…だがそれもプレイが始まりスイッチが入ってしまえば罪悪感など跡形も消えてなくなるのだが…
プレイルームのドアをノックする音に夏芽は目を閉じ眠ったふりをする…眠ったふりの自分が何をされるのかと想像していて夏芽の口と鼻を塞ぐように布切れか何かを押しつけられ、同時に薬品の匂いを感じて驚き目を開けかけるが、視界はぼやけ人影が陽炎のように歪んで見えたあと意識をなくした…
どのくらい時間が経ったのか分からないが、夏芽がぼんやりと目を開けると、そこには見慣れた風景があった。
薄いピンクのカーテンに勉強机…学校の教科書が並んだ本立て…夏芽の部屋だった。
ここは私の部屋?今までのことは夢?
まだハッキリとしない意識の中にいた夏芽…
「ふふふっ…やっと目を覚ましたか…久しぶりだなぁ…夏芽…」
声のほうに目を向け先にいたのは次郎だった…
プレイルームのほうは、ソロソロ終わりにしました。
やっと次郎の登場です。
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