「すぅ…、すぅ……」
疲れが全身を襲い、気がついたらそのまま眠ってしまい、夢を見ていた。
もし再婚相手が優しいお義父さんで、仲睦まじく夕食を食べている幸せな夢だったが…
「……ひっ、だ、誰っ!?」
ガサっと言う音でベッドの上で飛び起き、ドアの方に視線を向けるとそこには幼馴染の姿。
強張った表情が一瞬で緩み、スカートの裾を直しながら座り直す。
「なんだ、拓海かあ…、てっきりお義父さんかと…。」
家で急に部屋に入ってきた者がいれば家族かと思うのは当然だが、事情を知っている拓海からすれば別の意味であることは察しているはず。
「ううん、拓海が来てくれて嬉しい、図書館行けなかったしね。…えっ、おばさまが?」
紙袋を受け取り、中身を見てみると大好物の果物が中に入っており、ベッドの上で「わーい」とはしゃいでしまう。
「やった!しかもこれちょっと高いやつだよっ!一袋で300円とかしてお母さん買ってくれないから…、いただきまーすっ」
(拓海が来てくれて良かった…、部屋に来たの久々かな…?おばさまに後でお礼に行かなきゃ…。うーんっ、甘くて美味しい…っ!ちょうど口直しにもなるしっ)
返答を待たずして袋を開け、皮を剥いて頬張る。口の中は生臭い粘ついた不快感を覚えていたが、バナナの甘味でかき消されご満悦。
「んぐっ、ん…っ、そうだ、さっき電話したんだよ?気がつかなかった?……どうしたの?」
ふと拓海を見上げると、苦々しいような表情を浮かべており、小首を傾げて問いかけるも、「いや…」「気のせいだから」とか言うばかり。
「最近おかしいよ、なんかあったの…?ね、私たち幼馴染でしょ?悩みがあったら教えてほしいな。」
なんでもない、と言うものの時折悲しそうな目でこちらを見ていたりすることを気にしており、そのせいかややしつこく聞いてしまったのはあったが、どの台詞がトリガーになったのか、怒鳴られ、ビクッと震えて黙ってしまう。
「ご…っ、ごめん…なさっ…、ぅ、ぐす…っ」
ベッドのシーツをぐしゃっと握って、涙を堪えながら出て行く幼馴染に震え声で謝罪した。
(しつこすぎたかな…、また拓海を怒らせちゃった…っ、今朝も変な空気になっちゃったし…)
ひとしきり1人で泣いた後、食べかけのバナナを食べてしまって、ゴミ箱に捨てる。
拓海にLINEで『しつこくしてごめんなさい。もう嫌なことしないから嫌いにならないで』と送り、着替えを持って浴室に向かう。
(拓海に嫌われたらどうしよう…、明日も一緒に学校行ってくれるかな…)
暗い表情で制服を脱いで畳み、汗や愛液でベタつく身体をシャワーで流した。
【ありがとうございます、希望の動きがあれば今回みたいに指示してもらえると助かります。拓海さん描写すごくいいです。ギクシャクとすれ違ってくれて楽しいです。こちらもうまくできてなかったりするところなどあれば指摘してもらえると嬉しいです】
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