「はぇー…、綺麗で新しいですねぇ…。」
ジムに着くとまずは案内を兼ねて施設を見学する。
新オープンということもあり、機材など諸々が綺麗で真新しく、清潔感溢れるものだった。
「あっ、社長っ!あの、今回はありがとうございます…っ!私たちの事情も汲んでくださって…、これからよろしくお願いしますっ!」
事務室に通されると、社長の佐竹と出くわす。
夏芽達からすると住居・職を与えてくれた人物であり、夏芽も深々と頭を下げた。
品定めするような視線には気づかず…。
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「しばらくは私が稼いで養ってあげるから、ゆっくりでいいよ。そばにいてくれさえすれば、私はそれでいいし…」
ソファに座る拓海の横に座り、もたれかかって身体を預ける。
高卒ですらない二人にこれだけの住居は有り難すぎるもので、一区切りついたような安心感が芽生える。
「浮気しちゃダメだからね?そりゃあ、美紀さんは私なんかよりも美人でスタイルもいいし、背も高いし…。…さっき美紀さんに見惚れてたの気がついてるからねっ」
拓海の身体に頬をつけているおかげで心拍数が上がったことにも気がつき、意地悪が楽しくてほくそ笑む。
「えへへ…、嘘嘘、冗談だって…。ねえ、チューしよっ」
返答に困っている拓海に笑い、そしてそっと唇を重ねる。相変わらず舌を入れる濃厚なキスだが、室内に二人の吐息と唾液が混じる音が響く。
(もう我慢できない…、抱いてもらおう…。拓海とならきっと怖くないエッチができるはず…。)
拓海はおそらく気遣って手を出してこないはず、と考えて夏芽から行為に誘う決心をつけた。
エッチなことは気持ちいい反面、怖くて嫌なことと覚えてしまったが、愛する幼馴染相手ならきっと…。
「ねえ、首締めて…」
そう呟いた瞬間、机の上に置いたスマホに着信が入り、ブーッ、ブーッと音を立てた。
「またお義父さんからだ…。番号変えた方がいいのかなあ…」
平静を装って振動で滑り落ちたスマホを拾い上げる。しかし、頬は真っ赤に染まり、額に汗すらかいていた。
(あれ?私、今変なこと言った…?エッチしようって言うはずが、何故か今朝見た夢を思い出しちゃって…。)
「えっと、買い物いこっか。ご飯、私が作ってあげる。」
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