「ジムは、ここから歩いて10分くらいなの…」
夏芽を真ん中にして左右に拓海と美紀…3人で歩いてジムに向かう。
「拓海クン…カッコいいじゃない!夏芽ちゃんには白馬に乗った王子様ってとこかなぁ?」
夏芽は、三宅とのこともありバイトをしばらく休んでいたこともあって、久しぶりに会う美紀と会話が弾んでいた。
夏芽から聞いてはいたが、ホントの姉のように慕っているようだ。
(綺麗なヒトだなぁ…美紀さんって…たしかヨガのインストラクターをしてるって言ってたっけ…スタイルもめっちゃいいし…)
夏芽と2日もラブホテルに泊まりながら何もしていない…夏芽を気遣ってのことだが、拓海もまた夏芽同様、悶々となっていて、思わず美紀の身体に目が行ってしまい、慌てて目を逸したのだ。
ジムに着くと美紀に中を案内された。
1階には屋内プール、2階はストレッチ器具が並ぶトレーニングルーム、3階にはヨガなどに使われる広い部屋…何もかも新しく立派なものだった。
一通り見て回ったあと、1階受付の裏の事務室に2人は案内された。
「よう!夏芽ちゃん…久しぶりだね…」
そこには佐竹がいた。
「今日、夏芽ちゃんが来るって聞いたから顔を見にきたんだ…これから頑張ってくれよな…約束通り、黒崎には内緒にしとくから…それじゃあ、俺は人と会う約束があるから…美紀クン、あとは頼んだぞ…」
佐竹はそう言うと席を立った…部屋を出る際に頭を下げる夏芽の全身に目を這わせ口元に笑みを浮かべた。
(制服や水着もいいが、私服姿もなかなかだな…これからが楽しみだ…)
佐竹の口元に浮かんだ意味ありげな笑みに夏芽も拓海も全く気づかずにいた。
「じゃあ…早速…これが契約書ね…一応目を通して…」
美紀は夏芽に契約書を手渡した…夏芽はそれに目を通していく…
「お給料は、基本給がソレで、あと残業手当とか交通費とかがついて、その他に特別手当も頑張ればつくわ。
家賃は、そこから天引きになるけど…いいかしら?」
美紀は、テキパキと説明をしていく…提示された条件に夏芽も何の不満もない。
むしろ、この好条件て雇ってくれることに感謝しかなかった。
「2人が住む所は、これから連れてくわね…車で15分くらい…夏芽ちゃんはバスか自転車で通うことになると思うけど…」
……………
「美紀さんに頼ってよかったな…仕事もだけど…このマンションも…家具やなんやらも備え付けだし…ホント感謝しかないよな…これで住むところも確保できたし…あとは俺も仕事を何とかしなくちゃ…」
美紀が帰ったあと、ソファーに腰を下ろした拓海から安堵の言葉が漏れた…
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