(あれ?な、夏芽がいない…)
アラームの音に目を覚ました拓海は、隣で寝ているはずの夏芽の姿がないことに慌てた。
あたりを見渡すと浴室からシャワーの音が聞こえた。
(なんだ…シャワー浴びてるのか…)
拓海は安堵のため息をついた。
夏芽が悪夢を見たのと同じように拓海も嫌な夢を見ていた。
夏芽が義父の腕に掴まり拓海から去っていく…いくら走って追っかけても夏芽との距離は縮まらない…そんな夢だった。
「そんなことある訳ないよな…」
そう自分に言い聞かせるようつぶやいた。
夏芽と入れ代わりシャワーを浴びると2人は駅へと向かった。
美紀とは、ジムをオープンさせる街の駅前で落ち合う段取りだ。
たったの3日間の海の見える街での生活…仕事と住む所を探すことに必死で最後の夜だけが2人の楽しい思い出になった。
……………
「夏芽ちゃ~ん!」
駅の改札を出ると美紀が2人を見つけ手を振った。
「あ、あの…は、はじめまして…遠藤拓海です。今回は色々お世話をかけてしまって…」
夏芽から美紀を紹介されると拓海は今回のことに頭を下げた。
「ここじゃあ…なんだから、ジムのほうへ行こうか…そこで話をしましょう…」
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