「美紀さん、お疲れ様です。あの、先ほどの話なんですけど、お仕事お願いしてもいいですか?明日にでも契約書とか説明とか色々お願いしたいんですけど…、はいっ、じゃあ明日またお願いしますっ!」
拓海と相談した後、即座に美紀に掛け直してジムの仕事の話を受けることを伝えた。
地元からほとんど離れられず、車を所持している次郎などと会う可能性があることは気になるが…
(お金を貯めて引っ越すこともできるし…、それまでの間頑張ろう…っ)
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「拓海…?もう寝た…?」
レストランで二人で食事し、海辺を散歩したり、久々にクタクタになるまで遊んだ。
ラブホテルでの宿泊には不便なく、これからのことも考えるとできれば節約したいところであるため、再びラブホテルに泊まることにした。
明日には美紀に会いに移動するため、早めにベッドに潜った二人。
背を向けて寝ていた夏芽だが、少しして寝返り、拓海を見つめる。
「あのね、本当にありがとうね。酷い態度色々取ってたのに、私のこと見てくれていたんだね…。私仕事頑張るから、ずっと一緒にいようね…、好きだよ…」
返事がなく、寝ている拓海に小声で感謝を伝える。
聞かれていない時にするのもずるいと思うが、面と向かって言う勇気はまだなかった。
拓海の身体に潜り込み、抱きついて顔を埋めた。
(拓海の匂い…、やっぱり昔のお父さんみたいな感じする…、安心するなあ…)
幼い頃に亡くした父の香りはもう忘れてしまったが、優しい香りに何故か父を拓海に重ね、ゆっくり夢の世界に落ちていった。
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