「そうなんだ…ふたりとも未成年だし難しいかもね…それにしても夏芽ちゃん、やるじゃない!駆け落ちなんて…勇気あるわね…」
昨夜、次郎から佐竹に夏芽がいなくなったと連絡があり、その時一緒にベッドにいた美紀も夏芽の駆け落ちの話は既に知っていた。
愛人である佐竹の親友であった次郎だが、美紀本人は次郎に対していい感情は抱いてなく、次郎が夏芽にしていることに腹ただしささえ感じていた。
それだけに夏芽の力になってやりたいと思った。
「今、どこにいるの?へぇ…結構遠くまで行ったんだね…あのね…夏芽ちゃん…ウチのジム…隣の街にもう一軒ジムを開設するの…そこで新しく人を募集してて…またこっちに戻ってこないといけないけど、そこで働いてみる?社長には私から頼んであげるから…OKが出れば多分住むところも大丈夫かも…そこのジム…ウチの持ちビルで上の階に空き部屋があるから…」
美紀からの話は夏芽たちにとって願ってもない話だが、気がかりがないわけでもない…社長の佐竹と次郎の関係だった。
佐竹から次郎に話が伝わるとことは十分に考えられる…そのことがあり返答に困っていた夏芽だった。
「大丈夫…社長には黒崎さんに黙ってもらうよう私から言うから…」
美紀は夏芽の気持ちを察し、そう告げた。
「とりあえず彼氏…拓海クンだっけ?相談して返事をちょうだい…」
…………
美紀は電話を切ると社長室ねと出向いた。
「夏芽ちゃんから美紀に電話?そうか…やっぱりたいへんだろうな…高校生が駆け落ちなんて…うん…わかった…黒崎には黙っててやる…夏芽ちゃんたちさえよければ働いてもらおうか…」
佐竹が頼みを聞いてくれるとは思っていたが、想像以上にアッサリとOKを出したことに少し驚いた。
次郎とは女のことでは誰よりもウマが合う佐竹…そな佐竹が次郎に黙っているというのは、何か別の魂胆があるに違いないと美紀は思った。
「社長…まさか夏芽ちゃんに…ほどほどにしてくださいね…まだ高校生なんだから…」
「何バカなこと言ってるんだ…お前は…」
佐竹はそう答えながらニヤリと笑みを浮かべた…
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