「な、なっ、夏芽ちゃんがっ!?私知らないですっ、拓海くんとは仲違いしてからあまり話もしてなかったみたいだし…」
夜勤明けで寝ていた美奈子は次郎の怒号で目を覚ます。
差し出された置き手紙を読むと、目を見開いて固まってしまった。
次郎から疑いの目を向けられるが、左右に強く首を振って否定する。
実際、夏芽は拓海との付き合いは消えていたと思っていたし、何より美奈子自身、負い目から夏芽を遠ざけていた。
(二人とも心配だけど…、でも、これで良かったのかも…。拓海くんと仲直りできて一緒になれたなら…。)
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「そうだね…、お金にも余裕はないし、お仕事とかも探さなきゃね」
リュックをコインロッカーにしまいこみ、今後について考える。
(もし、どうしてもお金に困った時は風俗だってなんだってやってやるんだから…。生半可な気持ちじゃこれからは厳しいだろうし…)
家を飛び出して、学校の友達や親などを振り切る形で出てきた二人。こうなった以上何でもする覚悟を決めていた。
「不動産会社行っても、多分審査とか通らないよね…。未成年二人だし…。どこか住み込みで仕事できるところとか探した方がいいかも。個人経営の食堂とか、二階で住まわせてもらったり…、みたいな?」
未成年二人で住むところを見つけるのは簡単ではない。とはいえ、補導を考えると野宿するわけにもいかず、今日中に住む場所を見つける必要があった。
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