「逃走は北って…それドラマとか映画みたいじゃん!北もいいけど…俺たちは逃げるんじゃない…新しく出直すんだ!だから…南へ行こう…もっとも夏芽と一緒ならどこでもいいんだけど…」
拓海の提案に夏芽は頷いた…「逃げるわけじゃない…」拓海の言葉には夏芽への想いが詰まっていた。
この時はまだ予想以上の困難が待っていることなど思いもせず2人は自分たちの未来が光り輝くものだと信じていた。
「そろそろ時間だな…行こうか…」
東の空が明るくなりはじめたころ、2人は駅へと向かった。真っ赤に染まる朝焼けの空の下、2人を乗せた電車は南へと走り出した…
………
「お、お父さんっ!た、拓海がっ…拓海がこんなもの残して…」
拓海と夏芽の電車が出発した頃、目を覚まし拓海のメモを見つけた拓海の母親が父親を起こしていた。
「ど、どういうことだ?夏芽ちゃんと行くって…な、何かあったのか?あの2人…お前…何も聞いてないのか?」
夏芽の家でも時を同じくして先に目を覚ました次郎が夏芽のメモを見つけ美奈子を叩き起こしていた。
「あの2人…別れたんじゃないのか?美奈子…お前、夏芽があのガキと居なくなること知ってたんじゃないだろうな?どうなんだ?」
次郎にしてみれば、美奈子に拓海を誘惑させ、その現場を夏芽に見せることで2人が不仲になったことと、このところの調教で夏芽が快楽に溺れ出していただけに夏芽の家出は予想外のものであった。
三宅という男の存在も夏芽を追い込むことになっていたが、次郎は三宅の存在には気づいておらず、自分がアップした夏芽の動画が全ての原因で、自業自得といったところだ。
(くっそぅ!夏芽のヤツ…必ず見つけ出してやるからな!)
……………
何時間か電車に乗り、2人ご降り立ったのは、海が近くにある大きな街…
これから2人は住むところを探し仕事も見つけなければならない…ある程度の都市でなければ…と2人で決めたのだ。
「う~ん…風が潮の香りがする…ここが俺たちの街になるんだ…とりあえず荷物はコインロッカーに預けて住むところを探そう…」
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