さすがにこの時間になると、街はしんと静まり返り人影はない…たまに通り過ぎる車のライトに気づくと物陰に身を隠した。
夜間パトロールのパトカーにでも見つかったら間違いなく職質される。
もしそんな事になったら夏芽との約束も果たせず、今回の計画も親に知れてしまうだろう…
足早に待ち合わせの公園へと向かう…まだ約束の3時より早く着いた。
公園へ足を踏み入れると、すでに公園に着いていた夏芽が拓海の元に駆け寄った。
「ごめん…待たせちゃった?」
どうやら夏芽は1時間以上前から公園に来ていたようだった。
始発まで2人は公園の遊歩道脇の東屋で時間を潰すことにした。
「寒かったろ?」
拓海は、自分が羽織っていた上着を夏芽にかけてやる…もうすぐ夏ではあったが、この時間はまだまだひんやりとして、長い時間公園で待っていた夏芽は少し肩を震わせていた。
拓海は夏芽の肩を抱き手を握った…その手の指には、おもちゃのリングがはめられたまま…
「俺…頑張って…いつか本物の指輪をプレゼントするから…」
夏芽は「うん…」と頷いた。
※元投稿はこちら >>