「はぁっ、はぁ…っ、ぅぅっ、ひぐっ、うぅ…っ、ぁっ!」
大粒の涙を太ももに溢し、激しい呼吸を繰り返して泣きじゃくる。
いつか拓海のお嫁さんになることを夢に見ていた夏芽だったが、いかに汚れてしまったか、自分で口にした途端、堰き止めていた感情が溢れ出してしまった。
「……っ、す、好き…って、私を…?嘘…っ」
肩を掴まれ無理やり拓海の方を向かせられ、想いを聞かされる。
拓海も恋愛感情を抱いてくれているとは思っていなかったが、「嘘じゃない」とはっきり言ってくれた。
いつの間にか荒く乱れた呼吸が落ち着き、二人はじっと見つめ合う。
「拓海…、好き…、ずっとずっと前から…。」
そして、目を閉じ、そっと拓海に顔を近づける。
そのまま唇を重ね、初めて拓海とキスをした。
「ん…っ、んん…っ、ん…、ちゅっ、んっ」
淡い二人のキスだったが、夏芽は拓海の口内に舌を入れ、濃厚なキスをする。
舌を入れた際、拓海は目を見開いて驚いたが、夏芽は目を閉じていて気がついていない。
夏芽はもはや恋人同士のキスがどういうものなのか、普通のキスとは何か、わからなくなっていた。
ただこうすれば男が悦ぶということだけ無意識に刷り込まれていた。
(拓海とキス…、嬉しいな…。まるで夢みたい、目が覚めたら、まだあの別荘のところにいたりして…。拓海の匂い、温もり…、まるで死んじゃったお父さんみたいに安心する…)
長いディープキスを終えて唇を離すと、名残惜しそうに二人の唇の間に唾液が糸を引いて橋をつくった。
濃厚なキスに驚いている拓海をよそに、夏芽は頬を赤らめて、恥ずかしそうに視線をベンチの木目に落とす。
「…それと、私の方こそ酷い態度ばっかりでごめんね。私にとってお母さんは自分のことより大切だから…。」
それこそ美奈子の幸せのために、義父の調教を受け入れたほど。
「でも、もう疲れた…、全部…。もしかしたらもう家に居場所ないかもしれないし…。どっか逃げちゃおっか…?」
ここには三宅を殴り倒して逃げ出してきた訳で。もし三宅が怒り狂って動画をばら撒いた場合、最愛の母にも知られているはず。愛している義父と寝ているとあれば、きっと美奈子は娘であっても…。
【いえ、お気になさらず…。お忙しい時は無理はしないで、ゆっくりで大丈夫です。私もしょっちゅう間を空けてしまうこともありますので…】
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