「はあ…、本当最悪…」
(この調子でずっと脅されるのかな…。警察に言うぞって言って…、いや、公にされて困るのは私もだし…。)
ため息をついて小石を蹴飛ばしながら行きたくもない道を進む。何度もバックレようと考えたが、動画のことを思うとそれもできず。
(お母さん、お義父さんのこと大好きだからなあ…、あんなことしてるってバレたら…。)
夏芽にとっては美奈子に嫌われるというのは、考えるだけで吐き気がするほどのことで、嫌々ながらも三宅宅のインターホンを押した。
「うるさい…、別に遅くなんかないでしょ。…っ!?」
相変わらずのニヤケ面に内心舌打ちをしながらローファーに手をかけると、明らかに複数人の靴が脱ぎ散らかっており、勢いよく顔を上げて後ずさる。
(これ、1人2人じゃないよね…?私に何させるつもり…?)
三宅を睨みつけながらローファーを脱いで揃えて置く。
恐怖で固まりそうな体を無理やり動かし、三宅の後をついていった。
「ちょ…っ、寄ってこないで…っ、誰なの?アンタ達っ」
どこかでみたような生徒が三宅の他に5人いて、ニヤニヤしながら寄ってくる。
夏芽は同級生の彼らの顔を認識しておらず、払い除けながら指示されたソファに座る。
「は、はあっ!?私が何でコイツなんかに…」
告白するわけがない、そう言いかけた時、三宅がスマホを取り出した。そのなんてことない仕草だけで、表情が引き攣り、思惑を理解する。
「……そう、私が告ったの…、慎吾さんに…」
苦々しい顔でそう呟くと部屋内に男子達の歓声が響く。
「キスはしてない…けど…」
キスどころではないことをしており、そのことを思い出してほんのり頬が赤く染まる。
「な…っ、スリーサイズなんて答えるわけないでしょ…っ、馬鹿じゃないの?」
調子に乗り始めた会員達を睨みつけるが、三宅が「答えてあげなよ、夏芽ちゃん」と言い、縋るように三宅を見つめるが許してくれるわけもなく…。
「く…っ、ぅ…、87、57、86…だけど…。…カップ数…?ぃ、Eカップ…。」
バイト先のジムで水着のサイズを合わせるためにスリーサイズを測ってもらったが、バストやヒップが大きくなっていた。以前はDカップだった胸も揉まれ続けたせいかEカップにまでなっていたが、サイズを口にした瞬間、またも歓声があがり、視線は太ももや股間、胸元などに集中する。
(ヤバい…、やっぱり怖い…かも…。助けて、拓海…っ)
アダルトショップやジムで卑猥な視線を集めることはあっても、それらは全員大人で。こうして同級生達から間近で劣情を集めることに恐怖を覚え始め、無意識に心の中で拓海に助けを求める
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