三宅とのことで友達と距離を置いてひとりでいることが多かった夏芽だったが、結局、学校では話しかけることができなかった。
それは帰宅時も同じで、ひとり学校を後にする夏芽をただ見送ることしかできない…夏芽が不意に振り返り目が合った時の刺々しい目が拓海を萎縮させたのだ。
……………
「会長~なんで会長のマンション集合なんです?部室でまた夏芽ちゃんの撮影会したかったのに…」
三宅からのグループラインで招集がかかり、ファンクラブの会員のうち5人が三宅のマンションに来ていた。
昨日のように部室での撮影会を期待していたようで、集まった会員たちは口々に不満を漏らしていた。
「そう文句ばかり言うなよ。来てくれたお前たちはラッキーなんだぞ」
その時、部屋のチャイムが鳴る…
「ほら…来た!」
三宅の声に会員たちも言葉の意味を察したようで、不満気な顔が消え、お互い顔を見合わせニヤついた。
三宅はひとり玄関まで夏芽を出迎えた。
「遅かったじゃないか…さぁ上がりなよ…」
三宅に促され靴を脱ごうとした夏芽は、乱雑に脱ぎ捨てられた数人分のスニーカーに気づいた。
三宅以外にも誰かいる…
思わず後ずさる夏芽だったが、ここでも三宅の例の脅しが夏芽の動きを止めてしまう…
「そうそう…オレには逆らえないんだから…」
夏芽は観念したように靴を脱いだ。唇を噛み締め俯いたまま…
「あっ…今日はオレのこと…慎吾さんって呼んでね。あと、オレの言うことには素直に従うこと…いい?」
無言のまま三宅に続いた夏芽を大きな歓声と拍手が出迎えた。
「やっぱり夏芽ちゃんだ!」
「相変わらずかわいいねぇ!」
夏芽を迎えた会員たちは、期待を膨らませ鼻の下を伸ばしていた。
「まぁ…座りなよ…」
夏芽がソファーに座ると、会員たちが取り囲んだ。
「聞きたかったんだけど…夏芽ちゃんが会長に告ったってホント?」
「二人はどこまでもいったの?キス?それとも…」
「あっ…オレは夏芽ちゃんのスリーサイズ聞きたい!」
夏芽が三宅のマンションに来たことに加え、三宅の言うことに素直に従う様子を見て調子にのり、次から次に質問を浴びせた…
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