「ほ、本当…っ?よかったあ…。お母さん、大事にしたくないって病院も行かないって言ってて…。」
美奈子の怪我の具合を聞いてほっと胸を撫で下ろす。
病院にも行かず、何事もなかったように仕事や家事に勤しんでいたため、ずっと様子が気になっていた。
「そうだね…、確かにお母さんっぽい…」
次郎への警戒心が和らいでいるのと、母が無事との様子を聞いて、夏芽の空気も柔らかく、クスッと微笑みながら談笑する。
(ずっと嫌いだったけど…、なんだかちょっと家族になった気分…かも…?)
「ガキ…って…、その、でも……」
前までなら拓海をガキ呼ばわりすると怒っていたが、特にそういった様子も見せず、視線を床に落とす。
どちらかというと拓海の昨日の姿を思い出して、ムカムカしてきていた。
(拓海だってたくさんお世話になったはずでしょ…っ、それをお母さんが美人なのはわかるけど…っ、理性ってものはないの…っ!?)
ぎゅっと握り拳をつくり、歯を食いしばる。
ふとした時に思い出しては怒りや悲しみに襲われているのは事実で…。
「わかった…、その、いいよ…」
小さく頷いて、初めて脅しなどもなく、夏芽が調教に乗った。
※元投稿はこちら >>