「美味しい~っ!甘くて美味しいねえっ、えへへっ!」
ずっと前から気になっていた新作のクレープを頬張り、とろけるような笑みを見せる。
苦笑いされながら鼻のクリームを拭われると、腕に抱きついてきゃっきゃつとはしゃぐ。
久々の放課後デートにテンションが上がり、2人きりの時の甘えモードに入っていた。
「ねえねえっ、キーホルダーとか買おうよ、2人でお揃いのやつとかさ。」
「まだ帰りたくないな…、…そうだ、ゲームセンターとかちょっとよってかない?」
雑貨屋で買い物したり、まだ帰りたくないと我儘を言ってゲームセンター行ったりと、楽しい時間は楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、
月が昇る時間になってしまい…
「あーあ、もう夜か…。ずっとこうして遊んでたいな、なんて。」
帰り道、拓海に送ってもらっているものの、足取りは重く、トボトボという擬音が聞こえてきそうなほど。
家の前まで着くと、少し不安げに拓海の制服の裾を指で摘んで引っ張り
「明日は寝坊しちゃダメだよ?…じゃあ、また明日、バイバイっ」
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(浣腸もしてきなければ買ってきてもないし、無断で出かけちゃったからなあ…。今日も帰り遅いって言ってたけど、お母さん帰ってきてたらいいなあ…)
そーっとドアを開けて家に入ると、母が帰ってきている奇跡が起きてるわけでもないが、次郎の自室から室内灯の光が漏れている。
(こっそり部屋に行っちゃお…、はあ…、なんで自分の家でコソコソしなきゃいけないんだろ…)
ローファーを静かに脱ぎ、抜き足差し足で階段を登って自室へと向かった。
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