「折れは、やっぱり猫より犬のほうがいいな…母さんに頼んで犬、買ってもらおうかな…」
休み時間、夏芽ご見つけた動画を見ながら呟いた。
出先から帰ってきた主に尻尾を思い切り振って出迎える犬の動画…その時、頭に浮かんだのは、昨夜の公園で全裸の夏芽が尻尾を生やしていた光景だった。
(あれってやっぱりお尻の穴に何か入れてたんだよな…)
今でもあれば夢の中の出来事のやうな気がして、自分にとっても夏芽にとっても重大なことのはずなのに、どこか他人事のように漠然としていた。
「大丈夫か?早くトイレ行ってこいよ…」
急に腹痛を訴えた夏芽…お腹を押さえ少し照れたような顔をする。
「漏らすなよ…」
そんな一言に「ばかっ!」と言い返し夏芽は教室から出て行った。
「ふぅ~」
一人になると自然と大きなため息が出た。
今朝の嘘がずっと心に引っかかったままだった。
(忘れるわけない…夏芽と初めて会った日のことも…おじさんが死んじゃったときのことも…全部…)
どうしてあんな嘘をついてしまったのか…
「私も…」と答えた夏芽の寂しそうな顔が頭から離れなかった。
最近、行ったことがなかったが、思い出がいっぱいある公園…昨夜のあの公園でのことが、これまでの思い出を塗りつぶしてしまったような…公園でのことは全部消してしまいたい…そんな気持ちがあったのかもしれない。
(遅いな…夏芽…大丈夫かな…?)
思っていたより時間が過ぎていて、トイレから戻ってこない夏芽が不意に心配になる拓海だった。
夏芽が排泄で感じてしまっているとは想像もしていなかった。
(今日…久しぶりに学校帰りにクレープ屋さんに誘ってみようかな…この前、オレのほうから断っちゃったし…)
のんびりいきましょう。
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