「いや…まあ、持ってるけど…。」
(持ってる服把握してるのもキモいし…、うぅ、歩くと尻尾が揺れてなんか変な感じ…)
言われた通りに白いロングTシャツを持ってくると、そのまま着せられ…。
その後、有無を言わさず手首を掴まれて外に連れ出される。
「はっ、はぁっ!?ちょっとっ、何してんの…っ!!やめてっ、謝るからっ!!」
靴も履く暇さえなく外に連れ出される。
睨んだりしたから怒らせたのかと思い、喚いたものの、扉が開いて体が外気に触れれば、一気に口を閉じる。
騒ぎになれば、布一枚のこんな格好を晒すことになってしまうため、黙るしかなく、抵抗しながらも車に乗せられる。
「な、なに…する気…なの…?靴も履いてないし、汚れるんだけど…。はあ?散歩…?意味わかんない…」
いつもの調子を装うも、声は震えて表情は青ざめ、これからどこに連れていかれるのかと不安が見てとれる。
そして、連れてこられた先は、郊外の思い出の公園…。
(散歩って…、もしかして…っ!)
「嫌っ、やだっ!本当に無理っ、人来たらどうすんのっ!?」
無理やりシートベルトを外され、腕を掴まれて引っ張り出されそうになるが、必死にもがいて抵抗する。
しかし、女子高生が大人の男との力比べに勝てるわけもなく、シートから引き剥がされて駐車場の床に転がり落ちる。
シャツは剥ぎ取られて次郎に取り上げられ、車は鍵をかけられてしまい…。
「おねっ、お願い…っ、服返して…っ!ここ人通りあんまりないけど、全くないわけじゃないでしょ…っ!それに…」
それにここは夏芽にとって大切な場所。
しかし、懇願も虚しく車の鍵は開けられることなく、服は持ち去られてしまう。
いつまでも車の影にしゃがんでいるわけにもいかず、意を決して手足を地面につけ、ペタペタと四つん這いで散歩を始めた。
(くっ、トイレの前で監視してるし…、さっき言ったことやらなきゃトイレにも入れないつもりでしょ…。うぅ、もし誰かいたらどうしよ…。ああぁ、怖い…っ、泣きそう…っ、拓海助けて…っ!)
駐車場を抜け、遊歩道に沿ってジャングルジムを目指す。
昔はよく拓海と登って、てっぺんでお菓子を食べっこしていた。
一回滑り落ちて強く頭を打っちゃって軽く気絶してた時は、拓海が大泣きしていて…、それから…
(懐かしんでる場合じゃない…、ジャングルジムこんな高いんだっけ…っ、誰かに見られたらどうしよ…)
登り始めたが、露出の恐怖と羞恥で手足に力がうまく入らず、震える筋肉に鞭打ちなんとか登り切る。
てっぺんまで登れば、辺りを見渡してみると、やはり人影は見えない。
ただ、もしかしたら誰かいるかもしれないし、これから人が来るかもしれない。
急ぎながらジムを降りて…
(次は滑り台か…。こんなことさせて何になるの…?お願いだから誰も公園にこないで…っ)
頭の中で祈りながら滑り台の階段を登る。
馴れない四つん這いは疲労が溜まり、汗で全身が湿り、外気が触れて心地よい。
ーーーーーーーーーその昔ーーーーーー
「ねえ、拓海は好きな子いる?」
「い、いないよ、別に…」
「じゃあ夏芽と結婚しよっ!ねっ、ほら、誓いのキスしよっ」
「恥ずかしいよっ、もう…っ」
「えへへっ、ずーっと一緒だからねっ」
ーーーーーーーーーーーーー
(昔は素直に『好き』とか『結婚しよう』とかいっぱい言ってたな…。いつからそういうこと言わなくなったんだっけ…、キスもいつも拓海が恥ずかしがって結局しなかったな…)
昔の思い出を思い出しながら、全裸で滑り台から滑り落ちる。
すーーっと滑るはずが、汗ばんだ身体が引っかかり、うまく滑れず手こずっていると、台から転び落ちて、地面の上を転がった。
「痛っ、いてて…っ、でもこれで滑ったから…、あとは砂場…で、おしっこ…。砂場って、真ん中の方じゃない…」
全身に砂をつけながらも起き上がり、四つん這いで砂場を目指す。
滑り台やジャングルジムは遊歩道に沿って外周にあるものの、砂場は公園の中心付近にあり、人目につきやすい場所にある。
しかし、鍵の閉まった車に戻るわけにもいかず、進むしかない。
やっとのことで砂場まで辿り着くと、しゃがみ込んで目を閉じる。
(嫌…、ここは本当に大切な場所なの…。おしっこなんかしたくないのに…)
ーーーーーーーー昔ーーーーーーー
「ねえ、何してるの?」
本当に何となくだったのをうっすらと覚えてる。
元から人懐っこい性格だったらしいけど、知らない子に話しかけたのは珍しいってお母さんが言ってた。
お母さんとお父さんに連れられて公園で遊んでたら、砂場で遊んでる男の子がなんだか気になって声かけたんだ。
拓海は「お城を作ってる」って言ってたな。
「2人ですっごいの作ろうよっ、ねぇ、お名前はなに?私、夏芽っ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「うぅっ、ぐすっ、ごめんね…っ、拓海…っ、ごめんなさい…っ」
両手で顔を覆い、とうとう涙をこぼし始める。
チョロロロ…、と股から黄金の水が流れ出し、砂場に染みていく。
嫌なことがあったりしたとき、よくこの公園に来て昔を思い出していたが、きっと次からは今日のことを一番に思い出してしまう。
思い出が、穢されてしまった。
放尿を終えても泣いて動けず、しばらくしてからのそのそと四つん這いで動き出す。
「許さっ、許さない…っ、からっ、絶対…っ!」
トイレの前まで戻ると泣いて嗚咽を漏らしながら、見上げて怒りを孕んだ鋭い瞳で睨みつける。
しかし、露出の羞恥と思い出を塗り替えられる被虐に心とは真逆に身体は悦びを覚えていた。夏芽が四つん這いで通った後に、まるでヘンゼルとグレーテルの話ように、ポタポタと愛液の跡が染み付いていることに夏芽は気がついていない。
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