こんばんは。
じゃあ、ほんの少しだけ(笑)
仲居さんが、コンロを設置、鍋用食器の配膳を終え、<鍋の用意出来たらお持ちします。>と言って出ていく。
<あの人ったら、私に黙って全くもう……咲夢、蟹ですってよ。好きだったわよね蟹(笑)>
冷酒の蓋を開ける彩葉さん。
<さあどうぞ。将君>
『ありがとうございます。』
そう言って持ち上げたグラスに、冷酒を注ぐ彩葉さん。
変わりに将が彩葉さんに注ごうと瓶を持とうとすると、咲夢さんが私がと言って瓶に手を伸ばす。
と、触れる指と指。
とっさのことに、顔を見合わせる咲夢さんと将。次の瞬間、ごめんなさいと手を引く咲夢さん。
『いや……じゃあ、咲夢が注いで上げて。』
そう言うと、冷酒の瓶を咲夢さんの前に置く将。
その様子を見て、微笑を浮かべる彩葉さん。
<熱いわね、お二人さん。見せつけないでくれる(笑)部屋の温度あがっちゃうじゃない(笑)>
咲夢さんが彩葉さんに酒を注いでいると、障子の外から<失礼するよ。>と男の誘いの声がして、障子が開く。
<おぉ咲夢ちゃん、高校卒業及び、誕生日おめでとう>と、末廣亭主人が顔を出す。
<あら貴方、お店は大丈夫なの?>と彩葉さん。
<何言ってる?時間見てみろよ(笑)夜営業まで、休憩だよ。>
そう言って、鍋をコンロに置くご主人。
<何だよ、ビール残ってねえのか。それ楽しみに、わざわざ持ってきたってのに(笑)>
<彩葉お前、火の加減できるよな。厨房も休憩に入るから、内線かけても、対応するまで時間かかるからな。>
そう彩葉さんに言うと
<ゆっくりしてってね、彩葉ちゃん。将君だっけ、君も。。>
<そうだ。あの時は本当にありがとうね、評判落とさずに済んで、助かったよ。逆に恐縮されちゃって、困ったけど。。>
後から入ってきた仲居さんが、追加の冷酒及び鍋の具材をテーブルに並べる。
※元投稿はこちら >>