将さん、おはようございます。
よく眠れましたか?
今日は一日、のんびり予定です。
本編です。
まん丸なお月さまと瞬く星たちが綺麗に見える。
(あっ……、また咲夢、端なかったかも……。)
あの有名な愛の言葉をキスをしているカップルに慌てたからと言っても口に出してしまった事を恥じらう。
「……灯りの一つ一つに様々な人たちの営みがあるんですね。」
兄さまに習い、街の夜景を見下ろす。
「そう言えば卒業式後の月曜日にアルバイト先を下見に行きたいと思ってます。
将さんのご予定はどのようになっていますか?
学園の司書さんの旦那さまがオーナーの宮園書店と言うお店です。
何でも司書さんの義弟さんが店長さんをされているそうです。」
これも人の営みの一つですよね?と兄さまを見上げる。
司書さんの名前は宮園みやびさんで歳の離れたお姉さんみたいで相談しやすいと咲夢は話す。
その時、誰かの失礼。との声と共に咲夢の身体が前に弾かれると兄さまの胸へと飛び込む形になってしまった。
「キャッ!……将さん、すみません……。」
兄さまの胸に両手をあて恥ずかしそうな声、染まってしまった顔の赤さを隠す様にそのまま顔を埋める。
宮園修志
アニキから義姉の勤めている学園の大学生が司書になりたいと言っていると聞かされる、俺に言われても困ると言うか意味ないだろう。
そう思っていたがよりにもよってこの書店でアルバイトをする事になったと事後承諾だ。
面倒くせー、あっ、でも仕事サボれるか、地味な義姉の学園の生徒なんてどうせ根暗で地味な学生だろう。
会社を辞めてから出会いがない。
後悔しても遅いがあんな会社でも派手に遊ばなければよかった。
遊んだ事に後悔はないがもっと上手くればよかったと思う。
あの女(先輩社員の奥さん)のせいでとんでもない目にあった。
煩いアニキの声が耳障りだ。
聞いてるよ、地味娘なんて興味ないよ。
アルバイト初日、その学生を見て言葉を失うとは思わなかった。
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