続いて、本編です。
名刺をひらひらさせ写真と交互に見ていた兄さまが当時の記憶を思い出し父さまを疑いの目で見ていた。と
「そうですよね……、疑いますよね……。
父さまも母さまとご結婚されてから少し自分が非常識だと思ったそうですよ。
誰しもが自分を知っているわけではないと……。」
続いて『咲夢も寂しかったよね…。』と咲夢を抱き締めてくれる。
「……突然いなくなってしまわれたから毎日、泣いていたそうです。
その辺りの記憶、曖昧なのですが……、もう少し母さまのこと覚えておきたかったです。
彩葉さんの話では父さまも父さま自身が憔悴しきっていて咲夢の世話をするのは難しく
彩葉さんもお店のことがあって咲夢の面倒は見られなくて……。
母さま方のお祖父さまとお祖母さまは……父さまのことを嫌っていらっしゃって……、手を貸してくれなかったようです。
父さま方はお祖父さましかいらっしゃらないので無理と判断して……、聖信女子学園への幼稚舎へと……。
兄さまが……、将さんが咲夢を幸せにしてくださるのですか?
それは駄目です、咲夢も将さんを幸せにしてさしあげます。
大切な方だから……。」
視線が重なるとリップ音のするキスを落としてくれると深い口づけ……。とはならず兄さまはキッチンへと行ってしまわれた。
(残念ですが……、えっ?咲夢、今残念と思ってしまいました。
こんな事、将さんに知られたらはしたない娘だと思われてしまいますよね……。)
「咲夢も手伝います!」
兄さまのあとに続きキッチンへ。
チリコンカンを盛り付ける食器を用意しバケットを焼き始める。
「サラダ……、葉物野菜にしませんか?」
野菜室からレタスだけを取り出し準備する。
「チリコンカンに野菜とお豆が入っているからレタスだけで十分ですよね?」
お鍋をまぜていた兄さまに尋ねる。
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