【6】
(深く深くお互いを感じ合ったさやかとゆき。何度も何度も求めて交わり、その度に深く絡まり…2人とも体力の底をつくまで求め合い、いつの間にか眠っていました。)
「ん…ふぁ…あ…さやか…」
『おはよ、ゆき。朝になっちゃったよ?…もうすぐ夜明けだけどね。』
「ずっと起きてたの?」
『ううん、アタシも一緒にお風呂してゆきが寝ちゃってからすぐ…起きたのは少し前…』
「…なにかあったの…?」
『うん…自分の心とカラダの事…少し考えてた…
がっちり女の子だったら、今頃どんなだったんだろうなって…』
「…かわんないよ?さやかはさやか。男女問わず人気あって、明るくて優しくて。そして…わたしはそれでも愛するんだ…あなたをね?」
『そっか…アタシはアタシか…そうだよね。
…決めた!アタシ、ゆきとの秘密だったこの事、姫たちにも話すよ。元クラスの子達は理解してくれるった信じてる。ただ…旦那さん達や唯さんは…』
「…あの子達が選んだ人達だし、唯さんだってまなちゃんが好きになった人だよ。何も心配いらないよ…わたしもいるから…」
『うん…それで、ゆくゆくはアタシたちみたいな、性的な普通から外れた人らの事、わかってもらえるように声をあげていきたいなって…思える様になってきたよ…きっと同じように悩む人たちはたくさんいるから。その人達のためにも…
…ちょっと…風呂敷広げすぎたかな?』
(照れて頭をかくさやかの手をとり、ゆきは自分の胸に押し当てます。やさしく微笑みながら小さく首を横に振って…)
「そんなことない…素敵だよ?それに、さやかならできるって信じてる。わたしも協力するから…」
『ゆき…やっぱりゆきは笑わないで聞いてくれたね?ありがとう…』
「うん…あとね?わたしも今、決めた事があるんだ。ねぇさやか?今ここで、わたしをあなたの奥さんにして?わたし達みたいな人らは法で認められないのなら、逆に言えば勝手に名乗っちゃえばいいんだよね?さやかが自分のこころのことをまなちゃんたちに話すのなら、わたしはその時一緒に話すわ。
そして少しずつ、胸をはってわたしは大切な女性の妻ですって言えるようになっていきたい…」
『いいね…ゆきらしくて素敵。』
(ゆきは照れて笑いながら、シーツをドレスのように身体に巻きつけます。さやかもまた同じように…2人ともウェディングドレスに身を包んだように…)
『…指輪も…何もないよ?』
「いいよ?わたしたちだけの…秘密の式…」
『…神父さんは?』
「…今鳴いてる鳥さんっ…」
『あははっ!それはいいねっ…
それじゃ…ゆき…アタシは…あなたに、永遠の愛を…誓います…』
「わたしも…生まれ変わっても…ずっと…添い遂げる事を…誓います…」
(しっとりと指を絡めながら手を繋ぎ、どちらともなしにキスをします。たった2人の結婚式。でも2人にとって永遠の始まりです。甘く長いキスを交わし、涙を流すゆき。その涙を拭ってあげてさやかは優しく笑みを贈ると、きつく抱きしめて唇を重ねます。そしてお互い見つめ合い抱きしめ合います)
『あらためて…』
「これからも…」
『「一緒にいようね?」』
『あ…ハモった…あは…あはははっ!』
「うふふ…ふふふふっ!」
『…そういえば…姫に連絡しなきゃ…帰ったら連絡してって言われてたんだ…』
「帰ってないけどね?」
『まぁねぇ…あ、姫!さやかだけど…
うん…結局姫たちにあてられて、ゆきと道草くってたわ?』
…んもう!うちの子達はみんな不良娘!
『みんな?』
そうだよ!りつもあれから星野くんと寄り道して帰ってないし、のんちゃんは高田くんのところでお泊まり!さやかちゃんたちまで!
「…みんな…まなちゃんの出した答えと、りっちゃんとの間の事に影響されたんだよ?りっちゃんものんちゃんも、ぜったいいい道草だよ」
それはそうだろうけど…お母さんは心配です!
『姫がいつのまにか母になったよ…
そういえば…姫たちに…大事な話があるから…また…会ってくれるかな?』
もちろん!ふたりとも、気をつけて帰るんだよ?
『…やっぱり姫は姫だな…アタシの大事な決断が、まるで午後のお茶話のノリになっちゃう。
…ゆき…アタシはこの先…いろいろ迷うと思う。女として生きると決めても、どうしようもない違和感に苦しむ事もある…だから、だから…』
「わかってる…そばで…寄り添って支えるよ?だから安心して前を向いて…わたしと一緒に…」
『わかった!よろしくねっ』
「うんっ!」
(しばらくまなみは、感慨深げに携帯を眺めていました。ゆうすけさんが起きてきて、そんなまなみを心配します)
大丈夫だよ?みんなから連絡きたんだ。のんちゃんは…高田くんに結婚申し込んだんだって。
さやかちゃんとゆきちゃんは…今度大事な話したいからまた集まろうって…2人とも前向きな決意がこもってた…
まなが、りつとこころを半分こしてから、何か動き出したみたい…そんな気がする。
そのりつは…もうまながあんな風にならないように…心を半分置いていってくれた。まなも…いつもあなたと一緒だよって、半分…あげたんだ。
おかしな話だけど…ありえないんだけど…現にまなの中に…りつはいるんだ…
(ゆうすけさんも感じた…あの一瞬。今も微笑むまなみのどこかに、律子がいるような気になります。
満たされた優しい微笑み。まなみは自然とゆうすけさんの胸の中に飛び込みます。)
ありがとう、ゆうすけ…
あなたが…あの日まなを、あの東屋で救ってくれたから…今のまながここにいるんだ…
りつとも再び繋いでくれた…より深く分かり合えることができた…
そしてあなたとの子も授かって…まな、言葉にできないくらい幸せすぎて…まな…まなはぁ…
(ぽろぽろと泣き出して、今までの感謝を言葉にしようとしてもうまく出せずにいます。言葉につまり、嬉し涙に震えて泣きやめない…
言葉にならずにゆうすけさんを見上げるまなみ。どこか律子を思わせるその泣き顔…そっと目を瞑り…ふたりは唇を重ねます)
【お待たせです!本編再開しますっ!
前にもお話ししましたが、まなちゃんりっちゃん2人をいっぺんに抱く感覚…うまく綴れるかはわかりませんが、今から泣いちゃいそうな気持ちです。
さやかちゃんたちも綺麗に纏めることができてよかった…綴るうちにその子たちによって別の方向に流れる事もよくあるので、よほど2人の意思がしっかりしてたんでしょうね?そんな気がします。】
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