【3】
わたし…さやかに会うまでは、別に恋愛の事とか興味なかったんだ。友達はみんな誰彼が好きとかあの男子いいよねって言ってたけど…
でも、さやかに会って、どこか気になり出して。
うさぎ小屋の件で怒った時も相手がさやかだったから。話す機会も交わる機会もなかったけど、いつも目で追ってた。
わたしは…さやかだから好きになったの。男子とか女子とかじゃなくて…性別なんて、たまたま同性だっただけ。わたしは、さやかっていう1人の人を見てたんだけどな…?
「ゆき…」
さやかは?
「アタシは…ウサギ小屋の件があって以来、ゆきのことが気になり始めた。もっと知りたい、もっと話したいって。そのうちゆきといるのが当たり前になってきて。アタシたちが仲良くなったから、クラスの女子がみんな仲良くなれて。それでよりゆきを意識するようになったんだ。
ゆきに頼られるのが嬉しくて。守る事が誇りに思えてきて…初めてのキス。あたまどうかなっちゃいそうに嬉しかった。
…ごめん…アタシにはゆきがいたんだ。アタシも、ゆきがゆきだから好きになったんだ。
(いつも強気で優しくて、カラッとした元気さが眩しかったさやかが、わたしに助けを求めて手を伸ばしてくる…わたしは迷う事なく彼女を抱きしめます。キスをしてまっすぐにさやかをみつめて…)
…さやか…えっち…しよ?
「…え?ちょっ…と…ゆき?あっ…や…」
…きれいな身体…わたし、さやかが欲しい…
「はぁ…はぁ…きれいな身体…アタシ、ゆきが欲しいよ…」
ふあっ…初めてのあの時と…逆だね?
「そだね?あの時は本当にダメになるところだったわ。あの時ゆきがいて、一緒に寄り添ってくれたから、今のアタシがいるんだ。あらためて…ありごとう…愛してるよ?」
わたしこそ…引っ込み思案で影に隠れがちなわたしを、日の当たる場所に連れ出してくれたさやかには、ありがとうしか思い浮かばない。
…わたしたち、会うべくして会って、愛すべくして愛し合ってるんだよ。前にも言ったけど、わたしはさやかをさやかとして愛してる。男とか女とかじゃなくてね…でも、同性で良かった。同じ痛み、同じ喜びを分かち合えるから。気持ちいいことも全部.ね?
「アタシは…あれからずいぶん悩んだけど…やっぱり女なんだなって…思ってるよ。ゆきと一緒にいられるならどちらでもいい。でも、アタシは女としてゆきのそばにいたいんだ。今日、あの2人をみてより強くそれを思った。
ゆき?アタシたち、たぶんこれからかなり苦労すると思う。言われない言葉も多く浴びるだろうし、世間の目は容赦ない…それでも…これからずっと…一緒にいてくれる?」
…なにをいまさら…わたしはとっくにさやかの一部。なにがあっても、わたしはさやかといるよ?
あの二人は、溶けてまた2つになった。でもわたしたちは、今から溶け合って…2人でひとつの花を咲かせるんだよ。さやか…わたしと…いい?
「もちろん…アタシもゆきとなら…」
(2人とも裸で重なり合い、手を繋ぎます。ふたりで一つの花を咲かせたいというゆきの願いを、さやかは当たり前のように頷いて、ゆっくりと唇を重ねます。)
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