裕介。
高田君と律子のやりとりを星野君と一緒に見ていて、律子が星野君に身体をつけて笑顔を見せていると…
まなみと話していた紀子が「りっちゃん!りっちゃん!まなちゃんが!」と叫ぶ声に律子が飛んで戻って行く…俺はいてもたってもいられなくなり、紀子の部屋に雪崩れ込んで行くとそこには汗びっしょりになって目が虚ろになったまなみをギユッと抱きしめキスしている律子の姿が目に入り、同じように雪崩れ込んだ高田君がその姿を見て涙ぐんだ様に見えた。
まなみと律子の仲を知らないとこの場面は高田君にはさすがにキツかったか…と思っていると「ゆうすけさん…でしたよね?まなちゃんをこれ以上この場所に留めておくのはもう無理だと思います。
たぶん…みんなはわたしの事を思ってここまで来てくれて…ありがとうございます。わたしなら大丈夫…」「よくない…よくな…いよ…」「まな、休んでなさい…」「いま…のんちゃんをひとりにしたら…またあの人に…今よりもっと酷いことされちゃう…まなは…まなは…のんちゃんを助けたいんだよぉ…」「まなちゃん…」としばらく沈黙が続き、いつの間にか高田君が紀子の隣にいて、紀子が高田君の手をキユッと握って話をしていた。
「まなちゃん…それなら健二と…2人で居させて下さい。少しだけでもいいから、健二と話したんです。」としばらく沈黙が続いた後いつの間にか側にいた高田君の手をキユッと握って話をした。
まなみの様子も良くなり、それに紀子の希望ということもあり、俺は「それじゃ今日のところは高田君に後任せよう?
高田君?紀子さんのご両親が帰ってくるまで君が紀子さんの側にいてあの男から守ってあげなさい。それまで会社の方は有給扱いにしておくから、心配はいらないよ?」と提案して、まなみたちと帰ることにした。
高田。
課長らと一緒に紀子の部屋に雪崩れ込むと今まで見たことない虚ろな顔した宮島に竹田が励ます様に抱きしめキスをしていた…
そんな光景を目の当たりにして、俺は宮島への気持ちはプツンと切れた感じがして知らぬ間に涙を流していた。
宮島はやはりこの地にはかなりのトラウマがあり、どう見ても限界なのに紀子の為にここまでしてくれて有難いと思って紀子の側にいると紀子から「それなら健二と…2人で居させて、話したい」と手をキユッと握って話してくるから俺はキユッと握り返してやった。
「課長…すいません、お願いします。はい、
宮島、謝ることないって…うん、わかった任せて!
竹田!またそんなこと言って…星野君に怒られるぞ?」と言ったらさっそく星野君にコツンとされて「…いたっ…大丈夫よ、しゅんくん。今はもう、落ち着いているから…ありがと、愛してる…」と星野君にギユッと抱き締められて言うから何か逆に2人のラブラブさを見せつけられた気分になった。
だけど一旦みんなが戻る時に「宮島…俺の方こそ無理させてごめん…もっと早く俺が紀子と話し合えていたら良かった…でも、宮島と竹田に会えて良かった。
それじゃ…また何かあったら連絡するよ?」と言って最初で最後に俺からまなみにバグをして
俺はまなみへの気持ちをこれで完全に断ち切った。
そして紀子を抱き抱えてみんなを見送り、手をしっかり手を繋いで数年ぶりに紀子の部屋でベッドに寝かせ、2人きりになって妙にドキドキしてると…「…久しぶりだね?2人きりなんて…」と言った後、俺の手を両手で包み込み離れてからのこと、関根との関係を赤裸々に話をしてくれた。
どう言って慰め?いや…俺も紀子を性的な目である時から見てしまったから子供の頃みたいに接する事が出来なかったから俺も悪かった…
なんて思っていると何も言えず沈黙の時間が過ぎて行った。
「健二…さっきわたしのこと小さいって言っていたよね?違うよ?…健二が…おっきくなってるだよ?
…お正月に会った時…そっぽ向いちゃったの…怒ってる?実は…引き寄せられそうな感じがしてドキドキが止まらなくて…顔、見れなかったんだ…
それにね…もう関根に堕されたこんな身体のわたしじゃ…そんな事思う資格もなくて…」と言って力一杯握りしめ、自然と涙が溢れ初めて「健二って思えば…いつも…わたしを守ってくれるよね?幼稚園の時もあの事件の時だって…」と昔の話をしていたら「ね?健二…?いまさら…気づくの…遅いって思う…だけど…だけど」と言って紀子が起き上がり真正面から俺を見据えて
「わたし…あなたが…好き…
まなちゃんの事…いまでも好きでもいい。そんな気持ちごと包んであげる。
まなちゃんたちを見てそんな「好き」もいいんじゃあないかって…背中押されたの。相手が健二ならね?ただ…わたしには…その好きで幸せになる資格がないの…だからあなたにわたしの気づいた気持ちを伝えるだけで…」と言って関根の元に戻ろうと紀子が俯こうとするから…
紀子をギユッと引き寄せて抱きしめ「俺も…紀子が好きだ…もうまなみ…宮島のことは吹っ切れた、宮島のことは今思えば憧れだった…紀子がずっと側にいてくれて安心し過ぎていた、離れてから…紀子の存在の大きさにようやく気がついた。」と言った。
「い…いいの?こんな…こんなわたしで…最低の男に汚された…わたしでもいいの?」と言ってくるから「そんなこと関係無い!いくらでもこの先この俺が全て塗り替えてやる!
だからそんな不安そうな顔をするな!キコの事はこの先も俺が昔と同じように守ってやる!もう二度とキコを離したりしない!」と言って紀子を見つめると
紀子は俺の名を呼んで泣き出したから「キコ?好きだよ?」と紀子のこれまでの事も受け入れて初めてキスをした。
「キコ…俺があの事件の後、人が信じれないって自分の殻に籠ってしまって、キコの事を見てやれなくてごめん。
だけどこれからはもうキコしか見えないよ?」と言ってもう一度キスをして気持ちを伝える様に長く唇を重ねていた。
【まなみさん、大変お待たせしました。】
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