みんなの見てる前でまなみを抱きしめキスすると「ちょ…っと…みんな見てるよ…?」とまなみは恥ずかし気にしだばたしていたが、キスすると大人しくなった。
周りのみんなはざわめき、「パパとママ、チューしてる」と不思議そうに言うゆりなに
(しまった…ゆりなもいるのに、キスしたのは失敗だった…)と少し後悔してると美由紀さんが
「そうだよねぇ?みんなの前でも出来ちゃうんだからゆりなちゃんのパパとママは本当に仲良しさんだよね?」と巧くフォローしてくれた。
すると「じゃああたし、みゆきお姉さんにチューしてあげる!」とゆりなが言って美由紀の頬にチューした。
「あら、ありがとお」と美由紀が嬉し気に言うとその光景に癒される様に自然と笑いが起こり
「いいなぁ、けんじあたしにもチューちょうだいよ?」とおどけて健二に抱きついて言う紀子
顔を赤くして「ここじゃイヤだ…恥ずかしい…」と答えると「ここじゃなきゃ良いんだ。」とさやかに突っ込まれ、茹で蛸の様に更に顔を赤くなる健二。
そんな健二の様子を見て、笑いが起こる…そんな和やかな雰囲気の中、律子がいつの間にかベランダに出て、どこか遠くを見ているようだった。
まなみが僕に目配せをして、僕の胸の中から離れて上着を持って律子の元に向かった。
まなみは律子に声をかけ、上着を律子にかけて話をしていた。
するとまなみが身体を律子にピタッ…と寄り添って話を続けていた。
何か懐かしい1コマだ…ずいぶん前って感じがするな…って目を細めて穏やかに見ていた。
瞬一は初めて見る自分の知らない2人の姿、なんだか新鮮で良いな…
でもここで暮らしていた時は、きっとこんなふうにいつも寄り添っていたんだろうな…と色々妄想しながら2人を見ていた。
しばらくして2人が部屋に戻って来て「さて、みんな揃っているし…」とまなみが言うと
美由紀が「あの…そのことで…」と言って「さっき大将から連絡あって、出る時大将に今日みんなで集まる話をしたら…
どうせだから、ウチに来い!みんな集まるんだから良い話に決まっている。
だから夜は空けておいた、有無を言わさず集合!…だそうです。」「ええ?でも支度とか大変だし、そもそも悪いよぉ…」「大将…言い出したら聞かないから。あたし、これから帰って支度手伝います。」と話ながら帰る準備をしている美由紀に「…いつも見てるけど…美由紀さん、大変ね?」とゆいさんが言うと「もう慣れましたよ?それに唯さんと他愛もない話するの、大将も楽しみにしてますから…」「まぁ…それじゃ、お邪魔しないとね?まな…」「ゆいちゃんはお酒飲みたいだけでしょ!」と突っ込むまなみの一言で更に笑いが漏れ場が明るくなる。
「それじゃ、待ってますね?」と美由紀が言って先に出て行った。
美由紀が出てからしばらくして、そろそろみんなが出ようか?という雰囲気になった時…
律子が「…ねぇ?あたし、まなと散歩しながら少し話がしたいの。最悪お店で合流しても…いいかな?」と…
「りっちゃん…どうしたの?」「うん…なんか…そんな気分。」と話をする2人を見てそれが何を意味するのか、察して言葉に出さなくても子供たち以外は理解して、健二に突っ込んださやかもゆきの肩を抱いて、ゆきもさやかにもたれ静かに頷いた。
まなみが僕に行っても良い?って向くから「行っておいで?」と笑顔で言った。
律子もしゅんくんに向くとしゅんくんも同じように言って答えると「ありがとう…あたしの我儘につきあってくれて…まな、行こう?」「うん…裕介さん、みんなの事お願いね?しゅんくん、りっちゃんお借りします。」と言って身支度をして、手を繋いで出て行った。
僕はその2人の後ろ姿を見て、なにかしら2人の覚悟みたいなモノを感じて、胸の中がざわめいているところに唯さんが僕の隣で同じように2人を見送り「…律子なりの…区切りするつもり…なんだわ。
自分には星野さんが、まなには裕介さんが…
例え2人が魂の根っこで繋がっているんだとしても…ううん。繋がっているからこそ、直に絡まるのをこれで…あの娘らしいわ…ね?裕介さん、星野さん?」なんて言われて…
僕は、ああぁ…やっぱりそうなるのか…律子のあんな表情を見たから、そんな予感はしていたが…最後だからこそ2人が直に絡まったらどんなことになるか、今までの2人を見ていたこそどうなってしまうのか、わかる…。
しゅんくんも神妙な顔して頷いていて…
しゅんくんもまた僕と同じ気持ちだってことをわかり、僕としては律子の相手として、申し分のない男とわかってはいたが、まなみとの関係であんな目にあって、本当に許せていたのか不安だったが、しゅんくんの表情を見て、取り越し苦労だったってことがわかり、同士みたいな親近感を覚えた。
まなみらが出て行きしばらくして「絶対…絶対に離さないでね?健二…約束だからね?」「当たり前だよ!紀子…絶対に絶対に離すものか!」と高田君は言って紀子の手をギユッと握った。
本当なら裕介さんみたいに抱きしめてキスしたかったけど…やはり俺にはみんなが見てる前でキスする勇気はなかったが、紀子を離さない決意は本物だった。
その横で「あたしたちも…あんなふうになろ?ゆき?」「うん…」ともう一組のカップルも将来を誓い合っていた。
まなみと律子が互いに激しく求め合い、一度溶け合い一つになってから、互いの一部を相手に預けてお風呂に入っている頃…
みんながそろそろお店に移動しようと話ながら支度をしている一方で、僕と瞬一だけは支度をしようとしていなかった。
それに気づいた唯さんが「裕介さん?そろそろお店に行かないと…」と声をかけて来た。
「いや…先に行ってくれないか?僕はまなみが帰ってくるのを待ってるよ?」「僕も律子が帰ってくるのを待つよ?」と答えると
「…あの娘たちがどんな想いでここを出て、何をしているかは裕介さんだって気づいているでしょ?
着替えるために戻ってくるかも知れないけど、今の2人の邪魔するのは野暮ってものですよ?ほら、早く支度して…」と言われて…
僕はそれもそうか…僕がいると、まなみと律子が気まずい想いするだけか…
と思って支度を始めたけど…
瞬一はなかなか支度をしようとしない。
「唯さんの言うことはわからないことはないけど…でもだって…」とグタグタ言ってると「…あぁ、星野さんまで…もう!2人ともしっかりしなさい!」って唯に尻を叩かれる様に言われてしまい、ようやく瞬一も重い腰をあげて支度を始めた。
僕は支度始めていたのに、しゅんくんとまとめて尻を叩かれる様に言われて、えらいとばっちりを受けた。
まさかこの時のやりとりをまなみたちに読まれているとも知らず、
まぁ僕もでもだってって言っていたから仕方ないか…と思いながら支度をして、大将のお店に向かった。
「大将!お言葉に甘えて来たよ?お招きありがとう。」
「よお!裕ちゃん、いらっしゃい。
なに、いいってことよ?裕ちゃんも色々大変だったな?」
と話ながら美由紀さんに案内されて部屋に向かった。
なにやらさやかさんが、まなみらに何か仕掛けたみたいで「…姫たち…うまくいったかなぁ…」
「?さやか、なんかあの2人にしたの?」「ちょっとね…」って会話が耳に入った。
一体何をさやかさんはしたんだ?
と疑問というか疑念という不安を感じていると
「あ、きたきた!ひめー!おかえ…り…」とさやかが言って、まなみらがちょうど部屋に入って来た。
その時の律子はいつものシャツにデニムと思い格好で、まなみはゆるふわマキシワンピを着て珍しく髪を結って上げていたくらいなのにその2人並んで佇む姿はあまりに自然で…
みんな言葉を失くしているとゆりなが「ママが可愛くてかっこいい…
りっちゃんは…かっこよくて可愛い…」と言って、みんなはそれだ!って感じで納得していた。
その中で唯さんが中学のまなみと初めて会ったときの様子と重なったのか涙を流した。
まなみがその胸に唯を抱きしめ慰めていた。
この姿もまた僕の知らないまなみの一面…
そんなまなみに選ばれたのは光栄なのだろうか?
それとも…
するとまなみが律子のことを「りつ」って呼んでいることに気がつく。
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