あ…ほしのくん?まなが別で寝るよ?
「…なぁんか、ぎこちないのよね?まだ2人とも…
よし!今夜はみんなで一緒に寝ようよ?」
(その夜はしゅんくんの所で初めてのお泊まり。まるで小学生のように楽しそうにしている2人を見て、これでよかったと思うしゅんくん。2人をそのままにして、そっと部屋を出ようとすると、その2人に止められます。少しお酒の入っていた律子のゴリ押しで、居間を片付けて来客用の布団を二つ並べて、まなみを挟んで3人並びます)
「うちは、いろいろと規格外だから3人くらいいけるかなと思ってたけど…楽勝だったわ?」
…まながちっこいからでしょ?
「それもあるよね?」
あー!ひっどーい!
「あはは…
…でも…よくここまで1人できたね?
ちゃんと以前の、ううん?前よりもっと可愛くて魅力的になって…ね?しゅんいちもそう思うでしょ?」
(2人の間で照れて赤くなるまなみの髪を、律子は優しく愛おしく撫でます。顔を上げさせると、瞳をしっかりと見据えて)
「…あたしがあの時怖かったのは、あんなになったまなにじゃなくて、あの目の色…あたしが以前、底まで沈んだあの暗くて冷たいプールの水の色だったからなの。もうあんなところに行くつもりはないけど、なんかね…こう…」
…わかる。まなもね?まなの中のりっちゃんが消えるんじゃないかって思ったら、何かが狂い始めて、たぶん、りっちゃんのそれと同じのに…心を握りつぶされたんだ…
(思い出したか震え出すまなみ。しゅんくんと律子、どちらともなしにきゅっとまなみを挟みます。
震えが収まり、暖かく柔らかい身体が戻ってきました。しゅんくんは、律子とは違う女の子という感じの柔らかさにドキドキしていました)
ね?りっちゃん?
このまま、りっちゃんの枝を伸ばしてね?
高く広く、そして遠くに…まなとりっちゃんから生まれた、りっちゃん自身の花をたくさんたくさん咲かせてね?まな、もう寂しくないから。
(それはしゅんくんが望み、ゆうすけさんが願った2人のこれからの形。律子とまなみがようやく同じ気持ちにいたり、揃って同じ前を向いた瞬間でした。
律子は何も言わずまなみを胸に抱きしめます。
そして翌朝…)
「…おはよう、まなさん」
おはよ…ってほしのくん?今、まなって…!
(何となくまだ恥ずかしげに呼ぶしゅんくんに、まなは嬉しそうに何度も頷きます。そして律子を起こして支度をすませ、3人でゆうすけさんのもとに…)
ただいま…
「ママーっ!おかえりっ!」
ゆりな!ただいま!祐一まで?いい子にしてた?
「いつものママだ!いつもの可愛いママだーっ!」
かわいいって…嬉しいけど微妙だなぁ…
…ゆうすけさん…ただいま。わがままいってごめんね?それと…ありがとう。
え?中?えええ?ちょっと!みんなどうしたの?
(玄関先で子供達を思い切り抱きしめて笑い、ゆうすけさんの目をしっかりと見つめてただいまを言います。促されて中に入ると、美由紀に唯、紀子と高田くん、さやかやゆき…みんな揃っていました)
「どうしたもこうしたも!けんじから今日帰ってくるって聞いて、さあやとゆき連れて広島から飛んできたんだから!」
「姫が大変だって聞いてね?もういいの?」
うん…その事で。みんなに話があるの…
その前に、みゆきちゃん?今回はホントにありがとう。祐一の懐き方からわかるよ?
「いえいえそんな…?わたしのこと…みゆきちゃん…って?」
うん。あなたはもう、深くまなたちに関わってるからね?まなからのささやかなお礼…
(みゆきを抱きしめると、まなみはみんなの中に入ります。隣には律子が、手を握ってくれています。
まなみは真正面のゆうすけさんから視線を外さず話し出します)
…今回は、本当に迷惑かけました。
まな自身、あんなになっちゃうなんて思わなかった。狂ったまなを止められなかった。
原因は…ただ待つのに疑問を持ったから。
ゆうすけさんは、高田くんと仕事を頑張ってる。
のんちゃんは、その高田くんと一緒になる為に。
さやかちゃんとゆきちゃんも、一緒に暮らしだしたんだよね?
唯ちゃんは…学校で大事な責任ある仕事をしだして。
ほし…しゅんくんはりっちゃん支える為仕事しながら勉強して。
そしてりっちゃん…
前にまなは、おかえりを言うために待つよって言いました。でも、待つだけでまなだけがどんどん進んでくみんなに取り残されていくような焦りというか寂しさを覚えるようになって。
まなの中のりっちゃんがぐんぐん伸びて、りっちゃん自身の花を咲かせて頑張ろうとしてる。まなも負けないようにって思ったけど…
(まなみは握った手をぎゅうと握り返します。その力強さにはっとする律子。まなみの目は明らかに前を見据えていました)
やはり、まなは待つの。でもね?ただ待たない。りっちゃんの…みんなの花はぐんぐん伸びた枝の先。まなの花は…根っこのそばの地面に咲くの。一面にね?根っこを広くしっかり伸ばして、みんなにも絡みついて離さずに。
ここにいるみんなが…伸び疲れたら地面を振り返って?いつだって、まなは満開の花を咲かせて待ってるから。その花束で胸いっぱいにさせてあげながら、「おかえり」を言うの。
これが…これからのまな。ゆうさけさんやりっちゃんだけじゃない。まなの中にみんなまとめて包んで抱きしめてあげたいの。深く関わった、ここにいるみんな、有無を言わさずまなの根っこに絡まってもらいますからね?そのつもりで。
「…それなら、あたしも安心して思う存分泳げるわ」
「まな…大きく出たわねぇ?すっごく…欲張りで我儘…でも、まならしいわ。言われなくても、もう絡め取られてるわよ?ギッチリとね?」
ゆいちゃん…しゅんくんと同じ事言う…やっぱり変かな?
「いいんじゃない?なんかね?昔の姫が帰ってきた感じする。ね?ゆき?」
「うん…昔は春の太陽みたいだったけど、今度は下からもまなちゃんが見ててくれるのね?」
「そんなまなだから、けんじも好きになったんだよ?今更言わなくても、あたしたちの中心はいつもまななんだよ。まながいなきゃ、繋がらなかったんだから。ね?りっちゃん?」
「…あたしは、まなに守ってもらってここまでこれたんだ。振り返ったら、いつもあったかい笑顔で迎えてくれるまながいるから、あたしは前を向けるんだ。だから…これからも…あたしの背中…預けるよ?」
(とてもまなみらしい答えに、何を今更…と絆を確かめる同期組。それを涙をこぼしながら見つめる美由紀。唯は、その背中をそっと押してあげます)
「あなたも…もうおんなじ根っこの一部なのよ?
胸をはって飛び込んでおいで…」
「そうよ美由紀!この期に及んでわたしなんて…なんて言うようなら、張り倒すよ!おいで!」
「さすが委員長…怖いわぁ」
「うっさいさあや…ほら。ね?」
「う…うん…ありがとう…みんな…」
(まなみを囲んでみんな寄り添います。それはたくさんの花に囲まれた大きな木のような…これからの自分を見つけ直し、まなみは満面の笑みをゆうすけさんに向けます。)
【…な、感じなのですが。まなちゃんらしくって考えてたらこうなりました。…どうかな?】
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