「怒鳴ったりして、ごめん…」と言って肩に手を置き、コツンと胸に頭をつけて…手や肩が小刻みに震え…泣いているようで、キコの身にどんな凄惨な出来事が起きたのか…竹田の様子からわかり、言葉を失い「…いや、俺も…」と言い俯いた。
すると不意に耳に飛び込んで来た甲高い、今まで聞いた事のないキコの声…ハッとして顔を上げ、路地裏の方に顔を向けたが、竹田の言葉を思い出し…行ってはダメだ…と思って俯いた。
しばらくしてキコが足元がふらつきながら現れ「あ…けんじ…りっちゃんもいてくれたんだ…ごめんね…あ…ありがと…」と言ったキコ。
俺は路地裏から出て来たキコの姿を見て…
一応服とか髪は整えられてはいるけど、拭き取れなかった口元の汚れ、俺が見たことのない女の表情が少し残った顔…キコはいつも身だしなみには気を使っているのに、なぜか不自然に乱れた髪…それらのことから関根に何をされたかわかってしまい、…俺のキコに何をしやがった!と自然と沸き上がる怒り…いつも気がつくと側にいて、母親みたいに口うるさく注意されてるのが俺たちの当たり前の日常だった。
でもいつの頃か…あの事件が起こる前から少しずつ距離が空き、あの事件が決定的となって中学に入る頃には顔を合わせても挨拶程度しか話せなくなった。
それは今も変わらないけど、やっぱり幼なじみということもあって、悪い噂が耳に入ると心配になって声をかけたいが、何をどう言って良いか解らなくて、顔を合わせることがあっても…
そこに課長が車でやって来て、固く手を握りしめ離さないキコをまなちゃんと一緒に乗せて、俺は星野君に竹田を渡して、竹田は星野君の胸の中で肩を震わしながら車に乗り込んで、俺はキコの家まで課長のナビをしていた。
ただ…キコが車に乗り込む際にまなちゃんにもたれたせいで、スカートが少し捲れ…一瞬お尻が見えた気がして、まさか…と思いながらナビをしていた。
やがて紀子の家に着くとまなちゃんが「まな、のんちゃんをお風呂に入れてくるね…きれいにしてあげないと…りっちゃんもいこ…」「まな…あたしは…」「いいから!おいでよ…」と渋る律子を無理やりに誘い、お風呂に向かおうとすると紀子が「あ…けんじ、みんなを居間に通してあげて?お茶を出して、待っててもらって?場所覚えているでしょ?」と言って来て「キコ…そりゃ覚えているけど…それよりこんな時まで世話を焼くな?少しは甘えろよ?」と言って優しく頭を撫でたら…「こんなに…小さかったか?」と驚いて言うとキコは弱々しくクスッと笑ってお風呂に消えて行った。
そして俺はドキドキしながら課長や星野君を居間に案内して、お茶の用意して2人とこれからどうするか話ながらお茶を飲んでいた。
すると「…まなちゃんどうしたの?」「まな、負けた。のんちゃん…すっごくスタイルいいんだもん!可愛くて綺麗にもなったし!まななんておっぱいおっきいだけじゃん!」「そう?わたしはまなちゃんの柔らかそうな身体好きだなぁほんとに女の子って感じで、羨ましい…」「あたしも…そう思う…」「りっちゃんはまた対照的だね?スレンダーでも出るとこ出てるし…スラッとしてて…カッコいいなぁ…」「…やだ…恥ずかしいよ…そんな…じろじろ見ないでよぉ…」と言う話し声が聞こえ、紀子の昔のような笑い声が聞こえてきて…俺は何か紀子がやっと落ちついた感じがしてほっとしたが…あまりにも赤裸々な会話にまなちゃんのおっぱいがおっきいのは知ってはいたが、紀子がそんなにスタイルが良くなっているなんて…竹田の身体まで想像して…
男性陣はお互いに顔を見合せるような感じで話が止まり黙ってしまった。
ただ…まだ女性経験のない俺にとっては刺激の強い話で…課長はもちろん子供がいるから当たり前だけど、星野君も話の感じだと経験がありそうだから…
これまでそんな事気にする事などなかったのに何かモヤモヤするような変な気持ちが沸き上がっていた。
【まなみさん、お待たせ。
とりあえず最初の分の返事をします。】
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