律子ちゃんが「うぁぁ…き…きれ…い…綺麗だね…瞬一…」と朝日から伸びる光が律子ちゃんを包み…
律子ちゃんがポロポロと涙が流れ…
「律子ちゃん…どうした?」と僕が聞いて初めて涙が流れていることに気づいたみたいで
「…え?あ、あたし…どうしたんだろ…やだ、とまんない…おかしな…おかしいなぁ…」と笑顔のままで流れる涙を何度も拭う律子ちゃん。
何か痛々しくて僕は律子ちゃんの肩を抱くと律子ちゃんはそっと寄り添い、同じ方向をしばらく見ていた。
「本当、キレイだね?律子ちゃん…」と涙のことには触れず、律子ちゃんの気持ちが落ち着くのを待っていた。
ふと律子ちゃんを見ると溢れ出ていた涙がいつの間にか止まり、少し温かみが戻った笑顔で真っ直ぐ見ていた。
僕は何も言わず黙って同じように真っ直ぐ向いて朝日が昇るのを見ていた。
部屋には時を刻む時計の音と波のさざ波だけが支配していた。
「…ねぇ?瞬一はまなを許せない?
はっきり言っちゃえば自分が蒔いた種で起こった事なのに、どうしてあたしだけこんな風に苦しまなきゃいけないだって…
まなだけ笑って救われて、どうしてあたしだけがまた壊されなきゃいけないんだって…
そう…思っているでしょ?」と律子ちゃんが前を向いたまま唐突に切り出され…
僕は律子ちゃんの気持ちを思うとその通りだよ!なんて言われる訳もなく…ただ沈黙してると…
「そうだよね?
確かにそう。いつも暖かく笑ってる。でも考えたことない?どうしていつも笑っているかを…
あたたかく、やさしく、お日さまみたいなまなが当たり前になっているから、みんな想像すらしないだろうけど…けど…」と意味深な言い回しをして黙ってしまう律子ちゃん。
僕は律子ちゃんが何かを躊躇っている様に見えて、続きを聞きたい気持ちを抑えて静かに窓の外を向いていた。
「…ありがと。瞬一、あたしのこと…心の中までわかっているみたい…
今からの…話はあたしとまなだけが胸に一生しまっておこうって決めた事。
たぶん…ゆうさんも知らないわ…
でも、あたしは話す。瞬一には聞く権利があるし、聞いて欲しいの…」と律子ちゃんはまなみさんがまだ記憶の整理がつかなかった頃に会って、夜の公園で綺麗な星空を眺めて話しているうちに、律子ちゃんがまなみさんに対して僕が思っていた事以上の暗い感情をぶつけて、それに対するまなみさんの答えが…
僕は律子ちゃんを手をギユッと握って話を聞いていたが、まなみさんが「まなは…怖いんだ…知らない事が怖い…無意識で閉めた記憶の蓋。
開かない方がいいのだけど…怖くて怖くて…だから…笑うしかないの…」と言った言葉を聞いて、僕は初めてこれまで僕の知っているまなみさんの人格を形成した原点がわかった。
笑顔の裏に隠された本当の傷に僕は言葉を失い…ギユッと手を固く握る事しか出来ずにいると…
「…そう。あたしが「まなの事を誤解してる」っていうのはそういう事…あの娘はただ、周りに幸せをもらって笑っている訳じゃないの…それは…後悔と自責…」と律子ちゃんは話ながら僕
に力を込めてもたれかかって来てベッドに手を繋いだまま一緒に倒れ込み、感情が昂ったままの律子ちゃんと長いキスを交わした。
そっと唇を離した律子ちゃんの瞳を見ると又光が戻って来た様に見えていると「瞬一!あたし、今のままじゃいけないの!あたしがこのままじゃずっと…あの娘は笑うゎ…贖罪の笑顔で…温かさの影にすまなさを隠したままずっと…これが…あたしがずっとまなに守られているって言った訳……だからあたしもまなも…もう終わりにしなきゃ…あの地獄の思い出から…恐怖から…のんちゃんやさやかは言ったよ?昔のまなが戻って来たって…でもあたしに言わせれば仮初めの笑顔よ…」と律子ちゃんが握った手に力を入れて言った。
僕は律子ちゃんの迫力に気圧されながら聞いていると更に律子ちゃんが「…瞬一?今回の旅行であたしをバラバラに壊して!もう一度あの娘に会った時、全部もう大丈夫!って言える様に…ゆうさんは…あたしに立ち上がるきっかけをくれた。
今度は瞬一が…あたしを歩き出せる様にして欲しいの…」と涙が僕の頬にぽたぽたと落としながら語る律子ちゃん。
その涙はそれまでと違い、感情が溢れた熱い涙に感じられた。
更に水泳をやめちゃうかもとかトラウマ治らないかも?それでもまなに支えられていて、根っこで繋がっていても咲かす花まで絡める必要はないよね?
と言ってくれて、僕は心から嬉しくなった!「そうその事に僕は律子ちゃんに気づいて欲しかったんだ!
まなみさんと依存してると言ったのはその事に気づいて欲しかったから言ったんだよ!同じ根っこでも植物だって違う色の花を咲かすのだからやっぱり律子ちゃんとまなみさんだって別の色の花を咲かすのが当たり前なんだから…何かの歌詞ではないけれど、自分の花を咲かす為に努力したら良いんだよ?」と言った。
律子ちゃんはその問いに応える様に「まなのことは愛している!だからこそ…あの娘も…あたしも…それぞれから…独り立ち…しなきゃって…想ったの…
だから!だからお願い…これからの一生は…あなたの手であたしをイチから組んで…あたしを支えてください…」と言うと僕の答えを待たずに律子ちゃんは僕の頭を抱えて熱く激しいキスをしてきた。
僕もそれに応える様に熱く激しいキスを返した。
律子ちゃんの願い通りに壊して作り変えようと僕は激しいキスをしながらきつく抱きしめ律子ちゃんが自分の花を咲かせることが出来る様に僕がイチから組み換えてあげる。
そう決意してまずは律子ちゃんの唇に舌を入れて絡めた。
そっと唇を離し「律子ちゃん…前の旅行では僕のトラウマを律子ちゃんが身体を張って消してくれた。今度は僕が身体を張って律子ちゃんの地獄の思い出と恐怖を消してやる!すぐには無理かも知れないが、薄めてやる!」と律子の瞳を真っ直ぐ見つめて言った。
そう…簡単に行くわけはないが、僕のトラウマを消してくれた律子ちゃんに返せる恩はこれしか方法はない!それはある意味瞬一の決意表明でもあった。
【明けましておめでとうございます。
まなみさん今年もよろしくお願い申し上げます。
お待たせしました…さすがまなみさんですね?僕も全く納得してない訳じゃないけど、何か違和感みたいなのがありました。
今回のレスで完全に納得出来ました、ありがとうございます。
本当は前からわかっていたはずなのに…でも、律子ちゃんは心のどこかでしゅんくんより、まなちゃんの方が大事って思ってしまって、納得できなかった、そんな気が今はします。
まなちゃんの方も裕介が思っていた事を、後で書きたいと思ってますが…それはまた後日に…】
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