(ゆうすけさんたちが乗り込んでいる間、唯は泣き止まないさやかを膝に抱いてなだめながら、祈る様に手を合わせていました。数十分が数時間に思える程過ぎた頃、ゆうすけさんから連絡が入ります。)
もしもし?…ええ…ええ…わかりました。
…さやかさん?終わったって…関根達も捕まえたって。
「!ゆきは?ゆきは?」
今から私、現場いくけど、あな…
「行きます!」
(さやかの肩を抱きながら現場に着きます。救急車が来ていて、女の子が運び出される所でした。
さやかは唯の手から離れて走り寄っていきます)
「ゆき!ゆき!大丈夫?しっかりして!」
「あ…さや…か?たすけ…よんで…くれたの…ね?」
「うん!うん!あたしにはこれしかできなくて!」
「あり…がと…ね?」
(薬を飲まされた紀子とゆき、それと暴行をうけて精神的にも弱っている美由紀が病院に。中でも一番重症なのはゆきで、中毒一歩手前の状態だったと、唯たちは後に聞かされます。
さやかはゆきについて行きました。すでに警察もきていて、関係者だと話すと奥に通してもらい…)
…うっ…なに?このにおい…
(奥に行くには現場を通らねばならず、唯は媚香の匂いにクラっとよろめきます。薄暗い部屋の中をよく見ると、ところどころに精液やお汁らしき液体が散らばっていて、凄惨さを物語っていました。
嫌悪に息苦しさを覚えながらホールを抜けて奥の部屋に…)
…唯です。入るわよ?
(中に入ると、毛布に包まれたまなみと律子がいました。傍にはゆうすけさんとしゅんくんがそれぞれの手を握っています。律子はよほど緊張していたのか、気を失う様に眠っていました。
唯はツカツカ…とまなみに歩み寄ります。
「ゆいちゃ…ん」と言い終わらないうちに…)
バチンッ!
なにやってるの!
あなた、妻なのよ?母親なのよ?
それなのに何!これはっ!
紀子さんがあんな事されて、すぐに連絡もなかった子から会いたいって…おかしいと思わなかったの?
普通なら警戒するでしょ!怪しいと思うでしょ!
「ゆいちゃん…」
久しぶりの子達からだから嬉しいのはわかるわ!
でもね!人の心配にはちゃんと耳を傾けなさい!
まながゆうすけさんや律子の話をちゃんと聞いていれば、今回のような事にはならなかったのよ!
「ごめん…ごめんなさい…」
(ものすごい勢いでまなみを叱る唯。まなみはぐしゃぐしゃに泣きながら謝り続けます。
「何もこんな時に」と肩に手を置こうとするゆうすけさんの手を払い除け、なおもまなみに詰め寄り…)
私は…私は…まなや律子のこと…妹だと…思ってるの…よ?
待ってる間…どれだけ心配したか…胸が…張り裂けそうになったか…
よかった…よかった…無事で…よかった…
「うっ…ぐすっ…
ごめんなさいっ!ゆうすけさん!ごめんなさい!
ゆいちゃんごめんね!りっちゃん!守ってくれて…ありがとう!ごめんなさいっ!ホントにごめんなさいっ!うわあああああんっ!ああああああっ!」
…それから数日後。
紀子はすっかり良くなり、ゆきも快方にむかっていました。美由紀は怪我の回復を待って事情を聞かれる事に。まなみたちも嘆願しましたが、「罪は罪…たくさんの子たちを騙してきたのは確かだから」と美由紀自身が厳しい罰を望んでいると、警察の方が教えてくれました。
反対に関根らは、余罪があるにも関わらず開き直っ
た態度を取り続けていた様ですが、大将の名前が出た途端に急に大人しくなったようです。こちらの方をむしろ厳しく厳罰に処すつもりだとも言ってました。
そしてさらに数週間が過ぎ、全員がそれぞれ元の平穏な生活に戻った頃、まなみのもとに紀子から連絡が入ります。ちょうどその場には律子たちや唯も遊びに来ていました)
「…あ、のんちゃん?
…え?みんなで会うの、やりなおし?
…今度はホントに大丈夫なんでしょうねぇ?」
(律子に伺いをたてるまなみ。律子もしずかに頷きます。そうして話している時、ゆうすけさんの携帯にも大将から、話があるから今度みんな連れて店においでと連絡が入ります。
それなら…と、そのふたつをいっぺんに済ませることにしました)
【結構不穏な空気を流しましたが、次で関根編のエピローグにしたいです。一応みんな救われる展開を考えてますが…】
※元投稿はこちら >>