改札前に省吾さんを見つけ、駆け寄る・・・その服装は以前と同じ白いデニムのベストとミニ。
その手には着替えが入っている、少し大きめのバックが下げていると言う出立ち。
ユウリ
「おはようございます・・・省吾さん・・・今日はお忙しいのに・・・
よろしくお願いします・・・お待たせしてしまいましたか?」
省吾さん
「沖田さん、おはよう。勝手に早く来ただけだから気にしないで。会社勤めしてると
〇分前行動とかいうのが、しみついちゃって。それよりもしかしてまた緊張してる?
前に教えてあげたよね、緊張和らげる方法。痛いの嫌なら温かいもの飲むんでも・・・
多少はリラックスできるみたいだけど・・・」
そんなことを話しながらホームに降りていくと、電車がちょうど滑り込んでくる。
省吾さん
「ちょうど来たからこれ乗っちゃおうか。若干早いとは思うけど、向こうで焦る必要ないし」
ユウリ
「は・・・はい・・・」
電車が到着し扉が開くと乗り込み書いている座席に隣り合わせに座る。
逆に緊張してしまう・・・。
省吾さん
「そんなに緊張してたら実力出せないでしょ。手貸して・・・
この前のところ押してあげる・・・今度は二回目だから、この前より
少し強く長く押すからね。この前より痛いと思うけど、耐えてね。」
私は素直に手を伸ばす・・・この前と同じように親指と人差し指の間を
強く押さえられ、今度は円を描くように10回押さえられる。
思わず、時折苦痛に顔を少し歪めてしまう・・・声を上げたりすること
は無いが、手を握られて嬉しい反面、その表情には苦悩の表情が見られた。
それは被虐に恍惚の表情を浮かべている様にも見えた・・・。
側からは仲の良い恋人みたいにも見えていたのかも知れない。
そんなことをしているうちに、電車は目的駅に到着する。
否応なしに緊張が高まってくるが、隣に省吾さんがいると思えば・・・
余計に緊張していた。
今日は、これからの自分の未来に大切な日なんだ・・・。
省吾さんの為にもベストを尽くす・・・。
そう心に決めて省吾さんにエスコートされて会場に入った。
ユウリ
「おはようございます!沖田ユウリです、よろしくお願いします!」
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