目を輝かせ、省吾さんの目を真っ直ぐに見て答える私の視線に
少し困った様な顔をする省吾さん。それをごまかすように・・・
省吾さん
「そう・・・士方ACプロダクションの士方専務は戦隊もので演じてた経験あるから
色々と聞いてみるといいよ・・実際の体験談ってのは、何物にも代えがたいからね」
そう話した時に扉が開いて、「近藤さんに迎車頼まれたんですけど・・・」
と店員に言う声が聞こえる。
省吾さん
「あっ、迎車お願いした近藤は私です。この女性をお願いします」
と運転手に伝え、私に向かって・・・
省吾さん
「タクシー来たよ・・・さあ帰ろう」
と誘って、運転手について店を出て、タクシーの後部座席に私を座らせる。
そして手を握り・・・
省吾さん
「日曜日頑張って!受かって夢への第一歩に踏み出してね。じゃあ日曜日駅で。」
省吾さんの手の中にあった[車代に]と書かれた小袋は私の手に渡る。
訝し気に袋を見ていた私が言葉を発しようとした瞬間、車の自動扉が閉まり発進する。
ユウリ
「困ります・・・ああ・・・」
何もかもが夢の様な時間・・・最後まで気を使わせてしまった・・・。
私は心の中で、私のヒーロー・・・おやすみなさい・・・。
私きっと受かって見せます・・・。
そう言って見送ったのだった・・・。
次の日曜日、朝9時20分ごろ
駅の改札前に、スーツに身を包んだ省吾さんの姿があった。
私は先に来ようと早く出たのだけれど・・・。
ユウリ
「おはようございます・・・省吾さん・・・今日はお忙しいのに・・・
よろしくお願いします・・・」
私は結局、着替を持っていつもの白いデニムのベストとミニだ。
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