士方香織と電話で話した数日後、帰宅した俺のスマホに着信が。ディスプレイには香織ねえさんの文字。
省吾
「もしもし」
香織
「しょうちゃん、わたし。香織ねえさんよ。」
省吾
「ああ、ピンクねえさんか。どうかした?」
香織
「しょうちゃん、前に言ってたじゃない、新しいレッスン生、沖田ユウリさんだっけ・・・連絡まだないわよ。」
省吾
「ピンクねえさん焦りすぎだって笑。彼女も色々と考えてるんでしょ。SNSにレッスン内容エグすぎとかの書き込みあったから、踏ん切り付かないんじゃないのかな。でもアクション俳優への憧れは本物だと思うから、その内連絡あると思うけど。」
そう香織と話しながら思い出す。
沖田ユウリと公園で話して以降、ビルへの出入り時に微かな気配を感じるようになっていた省吾。その時ははっきりとした視線を感じ、確認のため顔を上げた時、急いで電柱の陰に身を隠す人影を目にした。
何事も無かったかのようにビルの二階に上がり、道路を見渡せる窓から身を隠しながら外を確認すると、そこには沖田ユウリの姿が。
その回想を破るように香織が
香織
「ひどぉい。SNSにそんな内容の書き込みがあったの?誰よ全く笑」
省吾
「一部だよ一部、極一部。大半はレッスン内容はきついけど頑張るって前向きな書き込みだから心配しなくても大丈夫。そう言えばたしか合格したって書き込みもあったよ。」
香織
「そう?それならいいけど・・・まぁいいわ。じゃあ連絡来るの待ってることにする。それはそうと本当に抱いてよしょうちゃん。うずいちゃってうずいちゃって、自分でする始末なんだから・・・」
省吾
「だから考えとくって言ってるでしょ・・・まぁカックーピンクのオナニー見学させてもらうのも一興だけど笑」
香織
「意地悪なんだからもう・・・あの素朴で従順だった博士のお孫さんはもういないのね悲しいな。」
省吾
「止めろよ、恥ずかしい。」
香織
「照れてる照れてる笑・・・両方の意味で本当に待ってる。じゃあね。」
通話を終え回想に戻る
(あの時はたしか最終的に決めるのは、沖田さんだって思って、何も気が付かない風装ってたんだっけ。俺はきっかけだけ作るだけって。格好つけずに声かけてたら今頃どうなってたかな・・・いや、きっかけだけきっかけだけ。最終的にどうするかは彼女自身。。じゃないと・・・)
そんなことを思いながら、眠りについた翌日、事務所に入ろうとした俺の背後から沖田さんの声が・・・
沖田さん
「近藤さん!・・・少し時間、良いですか?・・・」
省吾
「あ、沖田さん、久しぶり。何?あれから士方ACプロダクション検索してみた?良かったらまた公園で話そうか。」
そう言って先般の公園の同じベンチに行き、先般と同じようにハンカチで砂を払い、ハンカチを座面に敷きそこに沖田さんを座らせる。今日公園にはかくれんぼをする小学生のグループ、談笑する高齢者が。
省吾
「で、俺に何か用事?」
※元投稿はこちら >>