私は、知らない人から意味の分からないモノを受取る事が出来ず何時まで経ってもボタンを押せなかった。
近藤さん
「知らない男の施しは受けないってか。その意気は良しと。」
ユウリ
「いえ・・・そう言う事では・・・」
笑い呟きながら近藤さんは自分の飲料だけ購入し、事務所の入ったビルの斜め前にある公園に向かう。
ポカポカと陽光差す公園には、砂場で遊ぶ子供とそれを見守る父親、犬の散歩をする女性、語り合う
カップルなどが見受けられる。
空いているベンチを見つけ、座面に乗っている砂をハンカチで払った後、そのハンカチを座面に広げて
近藤さん
「沖田さんどうぞ・・・座って話そう」
と言って、自分はベンチの逆端に腰を下ろす。
私には戦隊ヒーローのレッド男優さんの様にその、仕草にドキドキし始める。
飲料のプルタブを開け一口飲んでからおもむろに・・・。
近藤さん
「今回の受験生全員に言えることなんだけど・・・沖田さんの演技ってどこか硬いんだよね。
沖田さん身体も少し硬いでしょ・・・スーツアクターの俳優って、ちょっと過激なスタント紛い
の演技求められる時もあるし・・・もし仕事中に事故でも起こされちゃ事務所の管理問題も
問われるちゃうし・・・それに沖田さん、貴女はちょっと豊満すぎるかな・・・」
一気にそう吐き出した後、近藤さんは私の顔を見つめ、身体を一瞥して反応を待っている様だった。
ユウリ
「そうなんですか・・・でも、私自信はあったんです・・・
(身体が固い?・・・豊満過ぎる?・・・確かにそうかも・・・
他の子の事なんて全然目に入らなかったしそうなのかも・・・)
私、どうしてもアクション俳優になりたいんです・・・。
どこかでレッスンする事って出来ないんでしょうか?」
私は近藤さんに思いの丈をぶちまけてしまう・・・。
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